表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
原初のヒーロー  作者: 七星北斗
修正前
9/117

ヒーローになるためには8

 えるは人工重力負荷装置のスイッチを切った。


 重力に耐えきれずに地面に突っ伏した受験生は、重力の負荷から解放されてぐったっりと横になる。


 重力に逆らって立ち上がった合格生は、息も絶え絶えで膝から崩れ落ちた。


「ほみゅほみゅ、会場Bの合格者は8名と」


 えるは眩しいばかりの笑顔でニッコリと笑うと、受験生達を称賛する。


「みんな結構頑張ったね。えらい、えらい」


「ふざけるな、これのどこが面接だ」


 ぐったりと横になっていた受験生の1人が、起き上がるとえるに怒りを露にした。


「ん?わからないの?これは面接だよ?」


「常識を考えろ。こんなことが許されると思っているのか?」


「君さ、ヒーローを舐めているの?」


 えるの怒気を込めた声1つで、受験生達は心臓に氷水を浴びた錯覚のような寒々しさを感じて、体をガクガクと震わせた。


「これは人物像や能力・思想などを見極めるちゃんとした面接試験だよ?」


 受験生のAは震えながらも反論する。


「これのどこが面接だ。学校で面接のマナーや受け答えを散々練習したんだぞ。僕は学業だって優秀なのに」


「そっかそっか、ずいぶんと生温い環境で育ったんだねw」


「生温いだと!」


 受験生Aは怒りで震えた。


「そういうのどうでもいいから」


 受験生Aは突発的にえるに殴りかかった。


「君がさ、生温い環境でいられるのは、私達ヒーローがちゃんと命をかけて働いているからなんだよ」


 えるは上段蹴りの要領で受験生Aの拳を右足の爪先でいなした。


 受験生Aの体制が崩れたところに、えるは回転すると左足で足払いをかけて地面に転がすと、受験生Aを一瞬で拘束する。


「もう一度言うよ、ヒーローを舐めてるの?」


「ぼ、僕はエリートなんだ」


「全ての質問をNOと答えた君は、ヒーローとしての才能の欠片もないよ」


 えるは拘束を解くと受験生Aにボソッと耳打ちする。


「ひぃっ!」


 受験生Aは酷く怯えて顔が真っ青になった。


「私言ったよね、才能ない子はいらないって。不合格者はもう帰っていいよ☆」


「糞が、覚えてろ」


 受験生Aは捨て台詞を残して逃げるように会場を後にした。


「ふう、だから試験官はやりたくなかったんだけど。それはさておき」


 彼方にえるは近寄ると受験生名簿を確認する。


「えっと、青井彼方君ね」


「はい?」


「君とっても良い気を持っているね、精進するように」


 そう言ってえるは右手を差し出す。


「はい!ありがとうございます」


 ヒーロー界上位のえるに誉められたことが、彼方はとても嬉しく、気分が高揚した。


 彼方はえるの手を握ろうと震える膝に力を入れて手を伸ばす。


 しかし、そこで事件が起きた。


 面接試験での無理もたたってふらふらな彼方は足がもつれ、何かを掴み転倒してしまう。


「いたたっ」


 彼方は起き上がり、顔を上げるとリボン付きの水色の水玉模様が…!?


 えるの顔が見る見るうちに羞恥に赤く染まる。


「キャーーーっ」


 会場にえるの悲鳴が響く。


 転倒して頭を打った彼方は、現状が把握できずに頭がくらくらする。


 あれ?会場をラッピングしていたリボンが消えている?


 それに会場に現れた時から、えるの目は輝くような金色の目だったような?


 もしかして気が乱れると全ての能力が解除される?


 えるの目は、金色が本来の色ではないってことかな?


「それにしても右手に違和感が?」


 彼方は右手にしっとりとした繊維の感触に驚いた。


「何だこの布は」


「スカート返しなさいよ、この変態」


 えるは桜の花ようなピンク色の眼で睨み付けると、彼方からスカートを引った繰り、彼方を蹴り飛ばす。


 彼方を蹴り飛ばした反動で、薄桃色の艶やかなえるの髪がフワリと宙に舞った。


 蹴り飛ばされた彼方の意識はそこで途絶えた。


 数時間が経過して、彼方は見知らぬ部屋のベッドで目を覚ました。


 記憶が曖昧だが、僕は気絶していたようだ。


「目を覚ましましたね。おはよう」


 彼方が目を覚ましたことに気がつくと、白衣の女性に話しかけられた。


「ここはどこですか?」


「ここは医療室だよ」


 ってことは、このベッドは全知全能のヒーロー達の使うベッド!?


 彼方は恐れ多くて冷や汗をかく。迷惑だろうし、急いで帰ろう。


「すいません、ベッドを借りてしまって。すぐに帰ります」


「構わないよ、それより面接試験合格おめでとう。先は長いけど頑張ってね」


「本当ですか!?」


 彼方は嬉しくて1人ガッツポーズをとる。


 ベッドから出た彼方は、床に置かれた自分の靴を履き、立ち上がると白衣の女性に会釈をした。


「気をつけて帰ってね」


「はい、ありがとうございます」


 白衣の女性に頭を下げると、彼方は全知全能の本部を後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ