答えなき問い4
「ブラックナンバーの魔名か…これまた面倒な厄介事を持ち込んだな」
雨蘭は溜め息をつく。
「世界序列三百四十八位。五百の序列を越えた化物。お若いのに凄いです」
狐の面が描かれた羽織りを纏う少女は、感嘆の言葉を述べる。
「ボス、このことをヒーロー本部に連絡しましたよね?」
全体が黒色でストリート系の服装で統一した少女は、雨蘭に問いかけた。
「ああ、聞かなかったことにするって言われたよ」
「なるほど、黙認するということですね」
ストリート系の少女の補足に雨蘭は頷いた。てっきり魔名を即逮捕するようにお達しが下るかと思っていたが。
ヒーロー協会も様子見ということだろうな。さて、どうしたものか?
雨蘭は一人頭を抱えて物思いにふけた。
その頃、青井家では。
「先にお風呂入ったら?」
「あ、うん」
物珍しそうに魔名はテレビを見ていた。今まで住んでいた家にはテレビがなかったそうだ。それに家の中はこんなに照明で明るくはなかったらしい。
不意に立ち上がると、魔名はリビングで黒いドレスを脱ぎ捨てた。
ピンクの上下セットの下着が…彼方の思考が一瞬フリーズする。
彼方は驚いて飲んでいた牛乳を吹き出した。慌てて魔名にドレスを着るように促す。
魔名は釈然としない様子でドレスを着直した。
羞恥心とかないのだろうかと、頭が痛くなる。
魔名をお風呂場に案内して、使い方を一通り教えた彼方は、リビングで好物のスルメイカをクチャクチャと齧る。
至福のひと時だ。スルメウンマー、噛めば噛むほど深い味わい。スルメを齧り、牛乳で流し込む、最高だ。
「それ美味しいの?」
気づけば魔名が背後に立っていた。タオルを首にかけて、母のパジャマを着用している。
魔名からはシャンプーのいい香りがした。使っているシャンプーは同じなのに、どうしてこう違うんだろう?
彼方は食う?と、一枚手渡した。
魔名は不思議な面持ちでスルメイカを口に含む。
「…硬い」
ガジガジとスルメを噛む魔名。それにこれ臭いようなと、微妙そうな表情をする。
「あれ?だんだんと味が濃ゆくなってきたような」
「でしょ」
彼方はニヤリと笑った。
「美味しい気がする」
そんな二人に母は食事を勧める。
「あらあら、仲良しさんね。晩御飯温め直しましたよ」
歓迎会では、喋ることに集中してたせいもあり、ちゃんと食べてない。
「まなちゃんは晩御飯入るかしら?」
ハンバーグやコーンスープの香りに、魔名はクーと小さくお腹を鳴らした。お腹を鳴らした恥ずかしさで、顔を赤くして下を向いた。




