表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
原初のヒーロー  作者: 七星北斗
修正前
82/117

答えなき問い1

「眠っている粟井ちゃんを自宅まで運ぶ道中、いろんなことを考えた。これまでのことや、今後のこと」


 自分の選択肢一つで未来が変わる。僕の失敗ですべてを失う。


 怖かった。考えれば考えるほど手が震える。でも、頑張るしかないよね。そんな風に自分を納得させる。


 そんな僕の両手にふわりと温もりを感じた。


「大丈夫ですって」


 粟井ちゃんが彼方の手を握って、優しく励ましてくれる。


 目を覚ましたのなら、背中から降ろそうとしゃがむと、粟井ちゃんはギューっと彼方にくっついた。


「彼方お兄さんのお背中はお気に入りですって」


 柔らかい感触と、鼻孔をくすぐるお菓子のような甘い香りがする。


「完璧なヒーローなんていないです。どんな仕事でも、探せば失敗したな~と思うことはたくさんありますって」


「確かにそれはその通りだと思う。だけど、ちゃんと背負わないと前に進めない気がするんだ」


 粟井ちゃんはどこかドッキリしたような表情で「カッコ良すぎてドキドキする~」と、彼方に聞こえない小さな声で呟いた。


「む~、彼方お兄さんのそういう所は大好きですって。ちゃんと気づける彼方お兄さんは偉いです」


 よしよしと、彼方の頭を粟井ちゃんは撫でる。


「ご褒美に元気になるおまじないをあげますって。彼方お兄さん、ちょっと目を閉じるのです」


 言われた通りに目を閉じると、ほっぺに柔らかな感触がした。そして僕の頬を両手で撫でてくる。


 僕が目を開くと、粟井ちゃんの顔がすぐ近くにあった。


「これはお家まで運んでくれるお礼ですって」


 粟井ちゃんは、再び僕の頬にキスをした。唇が頬に触れている間隔が先ほどまでより長かった。


 僕は驚きのあまり石のように固まった。僕にとって粟井ちゃんは妹みたいな存在だったはず。彼方の思考がフリーズした。


 僕は心臓の鼓動が速くなるのを感じる。粟井ちゃんはえへへといった表情でご機嫌だ。


 そして、彼方の首筋に頭をグリグリと押し付けてくる。


 髪がサラサラして肌触りがいいなとか考えていたら、粟井ちゃんが不意に彼方の疑問へと答える。


「私ね、頑張ったんだよ。飛び級で学校卒業して、ヒーロー会社に推薦が決まって」


 呟くように粟井ちゃんは語る。


「だから褒めてほしいな」


 そしてねだるような上目遣いで、彼方の目を見る。


 僕は覚悟を決めて、粟井ちゃんを背中から降ろすと、頭をわしゃわしゃと褒めた。


 やっぱり中学生とはいえ、まだまだ子供だなと彼方は安心する。


 彼方に撫でられ、ふわぁーと、粟井ちゃんは気持ち良さそうな声を上げる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ