残響10
石は難しい表情で彼方に問いかける。
「彼方君、君は何のためにヒーローになりたいのかね?」
「そんなの決まってるじゃないですか、ヒーローのようなカッコよく守れる存在になりたいからです」
「なりたいというのは、願望であって、理由ではないよ」
「願望じゃ駄目なんですか?」
「だって、夢見ガチな#人間__ヒーロー__#は、現実を知って進めなくなるんだよ。今の君みたいに」
核心を突かれた彼方は、返答に迷いが出る。
「それにさ、ヒーローがカッコよく見えるのは表向きだけだよ」
「なら、ヒーローはカッコ悪いんですか?」
「んー、私はカッコ悪いヒーローの方が好きかな。ヒーローはね、自分のことをカッコいいと思っているのは少数派なんだ」
「どうしてですか?」
と、彼方は疑問を口にする。
「何故ならヒーローはね、理想と現実のギャップにいつも悩んでいるんだよ」
「理想と現実のギャップ…」
その通りだと納得する。今の僕は確かにギャップを感じている。
「君たちが考えるヒーローは、どんな大きな事件も簡単に解決しているように見えるだろうけど、現実ではいつもギリギリさ」
その意味も今の彼方には理解できた。
「この間起きた茨城テロ事件では、何人もの優秀なヒーローを集めて何とか解決できた」
しかしヒーロー側にも死傷・重傷者がたくさんでてしまったのだ。そのニュースは新聞やテレビでも大きく取り上げられた。
「だけどさ、ヒーローに依頼される事件には、小さいも大きいもないよ。だってさ、依頼する人からしたら、自分ではどうしようもなく大きなことだからさ」
納得したかい?と、石は彼方に返答を求める。
「それでも、だからこそヒーローはカッコいいのだと僕は思います」
「そうだね。その通りだね」
石は彼方の言葉に表情を和らげた。
三枚目のパンケーキを、モシャモシャとリスのように口いっぱいに頬張って咀嚼する石。
忘れかけていたが、ツギハギゾンビとは何者なのか?
「ツギハギゾンビのことを化物と言われてましたが、一体何者なんですか?」
「そうだね。まず私が何故、奴を化物と呼んだのか?それはね、普通の人間に循環する気は一種類なんだよ」
「えっと、まさかと思いますが…」
「そうそのまさか。奴には数十人の気が循環していた」
「数十人!!」
「それが、奴がツギハギゾンビと呼ばれる理由だよ」
「数十人の気が循環しているのはとても信じられない話ですが、それがどうしてツギハギゾンビと関係が?」
「もう答えが出てるようなものだよ。奴は自分の体に殺した人間の体を移植してるんだ」
何故そんなことを、意味がわからない。とても嫌悪感を覚える。




