七転八倒9
うーん?何だか嫌な予感がする。一旦富士山から下山しようかな。
富士山中腹付近の空気が、攻撃的な気で満ちている。
古日根が富士山の麓に辿り着くと、偶然四人がその場に居合わせた。
最初に声を上げたのは古日根だった。
「あんたたち無事だったのね」
うわー、テルとハルだっけ?プールでキスしてた。嫌な奴に会っちゃったなー。
この双子ちょっと臭い…ような。
古日根は一瞬視線を何もない所に向けて、表情に出さないように取り繕う。
「テル」
「ハル」
「この人一瞬、視線を逸らしたよ」
二人の言葉が重なった。
古日根はジーッと、双子からの無言の圧力を感じる。
気まずくなった古日根は、オレンジ髪の少女に視線を向ける。
確か名前は七草檸檬だったかな?
「七草さん」
「何?」
「この至るところから感じる殺気の正体を知らない?」
「ああ…猫触ってたら、怯えて逃げちゃった。迷惑だよね」
試験中に猫触ってた?…突っ込んだら負けな気がする。
七草の話の続きを待っていると、私達を放置するなとばかりに双子が会話に参加する。
「私、剛弓を装備した人を見ました。その人は柴犬を相棒にしていたので、匂いを撹乱するために、香りの強い木の実を体に塗りつけました」
あー、だから匂いがキツかったのか。
「へい、そこの可愛いお嬢さん方」
四人は驚き後ろを振り返る。声をかけられるまで気付くことができなかった。
全身を機械のような鎧を纏い、古日根の背丈よりも大きく、砲台と呼ぶに相応しい銃器を担いだ筋骨隆々な男。
そしてその隣には、ダガーを両手に握った蠱惑的な女性。
…肌が白く、この人胸が大きい。やたら胸元を強調されたメイド服。悔しくなんてないんだからね。動くのに邪魔なだけだし。
とりあえず、今はそんなことよりも、思考を中断させて戦闘態勢を取る。
「俺は銃装機兵のコンラッドと呼ばれている。隣のはメイド長サンヲンだ。お嬢さん方、武踏会の相手をよろしく頼むぜ」
四人は即座に戦闘を開始する。
古日根の戦闘スタイルはスピードによる撹乱。隠密に適した能力、魔剣くノ一である。
七草の能力は、バランスキューブ。この能力はルービックキューブのようなものを具現化し、相手との能力の均衡崩すことができる。
テルとハルの二人の力は、鉄車輪。言葉の通り、鉄でできた全長2.5メートルの鉄車輪を具現化する。そして鉄車輪を相手に向かって、空中を転がすようにする。
「おやおや、威勢が良いね」
コンラッドは、四人の若々しい気の流れを感じとり、バトルジャンキーな獰猛な笑顔で答えた。




