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原初のヒーロー  作者: 七星北斗
修正前
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ヒーローになるためには10

 彼方はバスの中で、男に言われた言葉を繰り返す。


「原初のヒーロー…」


 よくわからないけど、要するに一番最初に生まれたヒーローのこと?


 一番最初に生まれたヒーローを知らない人はいないだろう。


 それって確か、希望(ピース)のことだよな?


 ピースについて語ると、ピースとはヒーロー界トップに上り詰めた男の2つ名である。


 伝説的な逸話を残したヒーローであり、初めてヒーロー会社を設立させた国民的英雄だ。


 だけど、それが何の関係があるのか?


 まあ、言葉の意味を知るには、ピースのことを調べろってことだよね?


 悩んだ末に、ピースのことをスマホで検索してみることにした。


 彼方はスマホをポケットから取り出し、電源を入れると、待受のミナミゾウアザラシが画面に表示される。


 ウェブ検索システムのK-グルでピースという単語を彼方は、入力した。


 検索ボタンをタップすると、ピースのウェブページが1万件を越えている。


 うーむ、どこから見ていけばいいのか?


 彼方は、右手の人差し指で画面を下にスクロールさせる。


 しばらく下にスクロールすると、おっ?これは!彼方は、ある単語の一文に目に止めた。


 見出しにインパクトのある一文。


『ヒーロー適正のない最弱ヒーローと呼ばれたピースの正体』


 気になった彼方は、タップをしてサイトにアクセスする。


 そのサイトは、白を基調とした、ありふれたシンプルな作りのブログであった。


『ピースは、ヒーロー適正のない最弱ヒーローと噂されているが、それは単なるデマである』


『彼こそがナンバーワンヒーローであり、正義そのものであった』


『戦闘に関しては、拘束術に長けており、誰よりも気の扱い方が優れていた』


『彼が救った人々は敵味方関係がなく、常に弱者の味方であった』


『優しさと強さを併せ持ったまさにヒーロー』


『と思っていたのだが、彼は大きな罪を犯した』


『罪を犯した人間は、罰せねばならない』


『奴は私の娘を見捨てた最低のヒーローだ』


『だから、私がピースを殺した』


 え!?何だこのブログは!


 ピースファンのブログかと思っていたのだが、文字の一文字一文字に執念のようなものを感じて身体中がゾワゾワする。


 見てはいけないものを見てしまった…。彼方の背筋に冷たいものが走る。


 そこにはピースを殺害する様子を事細かに生々しく綴られていた。


 ヤバッ…。ピースって事故死だったはず。通報した方がいいのだろうか?


 もしかしたら単なる狂言殺人の可能性もあるし。


 もう少し調べる必要があるな。


「次は飯○橋駅前でございます。お降りのかたはお知らせください」


 彼方がブログを見ていると、バスのアナウンスが流れた。


 降りるバス停だ、彼方は降車ボタンを押した。

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