#1 種族の強制選択
「生まれ変わる星は多種多様な種族が繁栄してる星じゃからな。今ワシが持ってる”リスト”の中から選んでくれぃ。この中の種族の王族から生まれるようにワシが手配しようぞ。さぁ選ぶのじゃ!!」
『いや、普通に人間でいいんですけどね...』
創造神デウスのクシャミで死んでしまった俺は、ツッコミ満載の中”リスト”を見る事にした。
【ヒューマン】 ※人数制限10人
☆メリットじゃ☆
・全種族で一番多く繁栄しており、ほとんど国のギルドを運営してるぞぃ。半分ぐらい豊かな国じゃ。
・能力値は平均じゃが、転職できる職業も豊富でダンジョン攻略にも向いてるぞぃ。
・数は暴力じゃ。国の戦争になっても国民が多いからよほどの事がない限り滅亡せんじゃろ。
☆デメリットじゃ☆
・寿命が全種族で一番短いのじゃ。繁栄力はある分、個体差も出やすいぞぃ。
・突出した能力を持つヒューマンは稀じゃ。なんでもオールラウンドにこなせるが、言い方を変えれば器用貧乏なのじゃ。
・地球の人間とほとんど姿は変わらん。せっかく生まれ変わるのにそれじゃ面白くなかろう?
【エルフ】 ※人数制限2人
☆メリットじゃ☆
・魔力に秀でた者が多く、また弓の扱いも上手い。ダンジョン攻略にはメイジやレンジャーが重宝されとるわぃ。
・容姿端麗、美男美女ばかりの種族じゃ。ただプライドが高いからの。数もさほど多くなく繁栄力はかなり低いほうじゃ。
・寿命がやたらと長いぞぃ。王族だとハイエルフだからの。数百年は生きれるじゃろう。
☆デメリットじゃ☆
・個体数が少ないから、国が戦争になったら間違いなく負けるの。それに美男美女ばかりじゃから奴隷にされる事もあるのじゃ。
・ダークエルフとゆう種族とずっと対立してるからの。国のトップになれば悩みをいっぱい抱えそうじゃ。
・体質のせいかスレンダーばかりじゃ。ワシはちょいプックリのほうが好みじゃ。
【ドワーフ】 ※人数制限2人
☆メリットじゃ☆
・手先が器用で力も強い。特にドワーフだからこそ作れる武具は高値で売れるのじゃ。国は豊かな所ばかりじゃ。
・ダンジョン攻略には欠かせない存在なのじゃ。戦闘にも向いておるし、みなの武具を整えるウォースミスやウォリアー系もオススメじゃ。
・寿命もそこそこ長いのじゃが、一番良いのは酒に強い事じゃ。戦いの後の晩餐に一晩中飲み続けれるのは貴重じゃぞぃ。
☆デメリットじゃ☆
・筋肉質の身体で身長は低め。見た目は小さいドラム缶みたいなものじゃから他種族にモテる事はあまりないの。
・足がとにかく遅いのじゃ。ドワーフの短い足で走ってるスピードとエルフの長い足で歩くスピードがだいたい一緒じゃ。
・ふくよかな女性が多くてワシ好みも多いのじゃが、怒らせると信じられんぐらい怖いぞぃ。女房を持ちたいと願ってるお主には王族とはいえ、常に低姿勢にならねばの。
【ビーストヒューマン】 ※制限人数5人
☆メリットじゃ☆
・能力値が全体的に高めじゃぞ。体力が尋常に高い者もいれば、足が異常に早い者等 戦闘力が高い者が多いぞぃ。ダンジョン攻略向けのタンク職が向いておるじゃろう。
・忠誠心も高いぞぃ。王族を守るために命を投げ出してまで守ろうとする忠誠心は他種族の群を抜いておるわぃ。
・多分魅力はこれじゃな、ケモノミミじゃ。お主の星でいうところの”萌え”とゆうものがあるぞぃ。
☆デメリットじゃ☆
・個体数はそれなりに多いんじゃがの。差別が酷くて他種族には煙たがられる事もあるぞぃ。奴隷の多くもビーストヒューマンが多いのじゃ。
・国自体も貧乏な国ばかりじゃ。王族になったら内政や資金繰りに苦労するじゃろうて。
・ワシはケモノミミにはあんまり興味がないからのぉ。お主はどうじゃ?
【チルド】 ※制限人数3人
☆メリットじゃ☆
・この種族は小さい子供のような姿をしておるからの。愛くるしさ抜群なのじゃ。
・能力値は低めなのじゃが、トリッキーな動きをするからの。トラップ解除やアイテム作成のバウンティハンター、また信仰性があるからかクレリックも向いてるぞぃ。
・寿命はヒューマンとあまり変わらぬが、なにせ見た目の愛くるしさ故にモテやすい種族じゃ。
☆デメリットじゃ☆
・体が小さい分、体力も少なめで真っ向勝負は苦手なのじゃ。個体数も少なめじゃからの。恨みを買われて戦争になるような事も滅多にないが、気を付けたほうが良いじゃろう。
・他種族に比べて信仰心が強い分、自分が信ずる神以外はありえない!と国内の宗教問題で反発も多いのじゃ。統制を取るのに苦労するぞぃ。
・見た目は年を取ってもほとんど変わらぬからな。子供が大きくなって孫が出来て、同じような容姿の者にじいちゃんとか言われると心が痛むぞぃ。
【ドラゴニュート】 ※制限人数1人
☆メリットじゃ☆
・能力値は他の種族と比べ物にならんぐらい高いぞぃ。また頭の回転も早いのじゃ。センチュリオンのような指揮官職は類をみないぐらいの強さを発揮するじゃろう。
・皆身長が高いからの。身長が低い者でも2mは超えておる。見下されるような事はまずないじゃろうて。
・個体数は一番少ない。その分国民一人一人が強いからの。しかも寿命もトップクラスじゃから、自分好みの国を作るにはピッタリの種族じゃ。
☆デメリットじゃ☆
・プライドが物凄く高く、他種族を身長と一緒に見下すからの。喧嘩っ早い者が多いから常に何処かで揉め事が起きてるのじゃ。
・常に王族を蹴散らして自分がトップに立とうとする者も多い。自分の身は自分で守れるぐらい強くならんとの。
・なかなか子供が出来にくい種族じゃからの。家庭を持ちたい者からすれば苦労はするわぃ。ただ一度つがいになった者は一生大事にする種族じゃから、ドラゴニュートは一途な者が多いぞぃ。
【カオス】 ※制限人数6人
☆メリットじゃ☆
・能力値はかなり高いぞぃ。魔法も得意じゃからな。デスナイトのような魔法も使える騎士等の戦闘職も向いてるぞぃ。ダンジョンではパーティーに1人は欲しい万能タイプじゃな。
・ヒューマンの次に繁栄しとる種族じゃ。個体数も多いから国自体はそれなりに豊かじゃ。
・寿命も長く、臣下の者達も長く王族に仕えてきた者が多いから信頼できるぞぃ。
・自分の力を示せば魔物を従える事もできるぞぃ。
☆デメリットじゃ☆
・一番戦争を仕掛けてくる種族じゃからな。他種族に嫌われてる者も多い。ダンジョン攻略の仲間に入れてもらうのは苦労するぞぃ。
・見た目はわりかしヒューマンに似てるんじゃがの。悪魔のような尻尾が生えてるのじゃ。戦闘力は高い分、尻尾が弱点じゃから後ろに回り込まれぬようにするのじゃぞ。
・王族はみな戦闘狂が多いのに対し、国民はあまり好戦的な者が多くないので、戦争時はちぐはぐな動きをするのじゃ。個々は強くとも、統率力は皆無じゃからまとめ上げるのに苦労するのぅ。
・性の欲が強い者もこの種族には多くての。家族を持っても浮気をされるかもしれんから気を付けるのじゃぞ。
【ヴァンパイア】 ※制限人数1人
☆メリットじゃ☆
・夜行性なのじゃ。
・血が美味しく飲めるようになるぞ。
☆デメリットじゃ☆
・いっぱいありすぎるから省略じゃ。敢えて言えば身体が臭いことかの。
俺は創造神デウスから渡された”生まれ変わる事が出来る種族リスト”に一通り目を通した。
いや、なんか個人的な感情が入ってる部分もいっぱいあった気がするけど、とりあえず大まかな種族毎の特徴は分かった 気がする。
『結構いっぱい種族が居るんですね。それに魔法やダンジョンって言葉が出てくるのを見るとまるでゲームの世界のようだ』
「お主の居た星は科学文明の進んだ世界じゃったからな。種族は人間のみじゃが、白人や黒人等の同じ種族間でも微妙に違ったり、文化もかなり違ったように見えたからの」
『地球は国が数百もありますからね。言葉も宗教も何から何まで違うので、もしかしたら次に生まれ変わる星の方が種族は圧倒的に少ないと言っても過言ではないかもしれません。争いも常に起こっていましたからね。人間同士で。』
「そうじゃの。じゃが、もうお主は地球人ではなくなるのじゃ。過去に辛い事や寂しい思いもあったじゃろうが、新しい星で王族に生まれ変わるお主は人生リスタートなのじゃ!高鳴るその想いを抱き、是非次の人生を楽しんでもらいたいのじゃ。ふぉっふぉっふぉ」
『...彼女が居なかったですが、それなりに人生は満喫しておりましたがね。だ・れ・か・さんがクシャミをしなければ俺はもしかしたら旅行から戻ってゲーム内で彼女が出来たかもしれな「さー!ウジウジいっとらんで種族を選べぃ!!」
『はいはい..えっと、【ドワーフ】はナシかな。モテないのは嫌だし。【ビーストヒューマン】は見る分には目の保養になるかもしれないけど、それなら【ドラゴニュート】の方が強いだろうし、良さそう。間違っても【ヴァンパイア】は絶対”ナイ”な』
「まだかの? ズズゥー...ふぅ美味いわぃ」
『どっからお茶出したんだ。まだですよ、もう少しゆっくり選ばせて下さい。【ヒューマン】か、最初は人間で良いと思ったけど、せっかくだから違う種族の方がいいな。【カオス】のデメリットの最後の説明文はちょっとそそるけど...【エルフ】か【チルド】の容姿端麗か他種族にモテやすい。う~ん...迷う』
「モテる事が全てじゃないぞぃ?魔法やダンジョンがある世界なんじゃから冒険者になるのも良い。勿論、王族に生まれるのじゃから国を運営するって意味では豊かな国を持ってる【ドワーフ】や【カオス】も良いと思うがの。特に【ドワーフ】はワシ好みの女性多いし」
『最初と最後で矛盾があるような気がせんでもないですが...それじゃよし!!決まりました!美男美女ばかりで魔法も得意な【エルフ】になりたいです!!』
「おぉ、そうか!決まったかの。ふぅ、意外と早く決めてくれたからこれでミスを報告せんで済むわぃ...それじゃぁリストの【エルフ】をタッチするのじゃ!!」
『もう少し小声で独り言は言いましょ..生まれ変わったら死神さんに報告しますよ?とゆうか手足の感覚がないのでどうやってタッチすればいいんですか?』
「おぉっと!ついうっかり本音がでてしもうたわぃ! すまんすまん、手を動かせるようにしたからタッチ出来るぞぃ」
『本当にこのじいさんは神様の中で一番偉い人なのかな..? あっ手の感覚が戻りました。それじゃ【エルフ】にタッチしますね』
ブーブーブー ブーーーーーーー
『...?押せないですよ?』
「なぬ?? あっ!そうじゃったわぃ!!久しぶりにワシも死神の仕事をしたからの。過去にワシがうっかり間違えて命のロウソクを消してしまった者が他にも居ての。ホレ、そこに”人数制限”と書いてあるじゃろう?過去も含めて生まれ変わりが出来る種族の最大の人数なのじゃ。それは王族だからではなく、例えば【ヒューマン】の平民に生まれ変わらせる代わりに勇者になれるとか【カオス】なら反対に魔王になれるとかの。まぁ魔王は王族みたいなもんじゃな!ふぉっふぉっふぉ」
『ふぉっふぉっふぉじゃないっての!!【エルフ】がダメとなると...あれ?よくよく見たら殆どの種族リストに少し灰色とゆうか文字が暗くなってませんか?』
「どれどれ。おぉ、ほんとじゃの!いや~このリストも久しぶりに見たのじゃが、意外とワシも生まれ変わりをさせてる者が多くての。特に死神に研修とゆう形で仕事内容を説明してる時はよくミスったからのぉ...チラッ おっ怒るでない!ほれ、ここ!この種族は選べるぞぃ!」
『このじいさん実は創造神じゃなく大量殺人犯なんじゃないのか..? どれ、えっと..えーー!【ヴァンパイア】だけしか選べないじゃないですか!! しかもメリットデメリットむっちゃはしょってる上に、身体が臭いってシャレにならんでしょう!! えっ?マジでこの種族以外選べないんですか?創造神なんだから他の種族を作るとかは?』
「それがのぅ..イチから種族を作るとなると物凄く大変じゃし、お主の魂もあまり時間が経つと消滅してしまうからの。何よりミスがバレちゃうしの..。い、いや、そんな目で見るでない!あいわかった!!汗 【ヴァンパイア】だけしか選べないのは本当に悪かったのじゃ!王族以外にも何かお主にプラスになるように手配をしよう!のぉ、それで許してほしいのじゃ汗」
『とゆうかなんで【ヴァンパイア】だけこんな説明文に..』
「昔はちゃんとメリットとデメリットを書いてたんじゃがの。あまりにも不人気種族ゆえに試行錯誤しながら説明文を書いてたんじゃが途中でめんどくさくなっての..ま、まぁ大丈夫じゃ!ワシがしっかり対応するしの、本当は王族の子供として生まれ、少しずつ国に関わって世界を知っていくのじゃが、【ヴァンパイア】の生まれ方は少し特殊での。向こうの世界では15歳から成人じゃから、不自由のないよう同じ年齢で誕生させるわぃ。」
『多分この場所に呼び出してもらってから常にツッコミたい要素が満タンなんですが、もうとりあえず消滅したくはないので【ヴァンパイア】でいいですよ...』
「おぉ、すまんのぉ!!しっかりワシがフォローするから安心せぃ!!それじゃ【ヴァンパイア】をさっそくタッチしてくれぃ!バレる前にササっとな!」
俺はすっごく不安を覚えながらも消滅したくはないので、"種族リスト"の【ヴァンパイア】を恐る恐るタッチした。
その瞬間、目の前が真っ白になるぐらい"種族リスト"が光り輝き出し、また意識が朦朧としていく中、胸を撫で下ろしホッとしている創造神を目に焼き付けながら俺は意識を手放した。