表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

夢を見るネコ

作者: 志賀 雷太

この世界に、ネコは星の数ほどいるけれど、その中でも私はかなりのべっぴんさんだと思うの。


水たまりに映ったネコが自分なんだと知ったときは、それはもう飛び跳ねるぐらい驚いたものよ。


……勘違いされては困るから、一応付け加えておくけれど……飛び跳ねるってのは比喩だから。私はいつだってエレガントな女なの。わかった?




……本当かしら?


まぁいいわ。


ところで、あなたの方はどうなのかしら?




何がって……あなたがイヌの中ではどれぐらいカッコイイのかってことよ。


私の感覚からすると、あなたは中の中ってところだと思うのだけれど、あいにく、私にはイヌの美的感覚がわからないのよ。




……そう。考えたこともなかったのね。


まぁ、わかったところで私の感性が変化するわけでもないし、構わないのだけど。




……え? 何よ、またなの? もう! 前にも言ったじゃない!


私、それ苦手なの。できればもっとおしとやかな遊びがいいわ。ごめんなさい。


……特に代案がなければ、今日はここでお開きにしましょう。また明日ね。


(……だって、仕方ないじゃない……私はネコで、あなたはイヌなのだから)






 ・ ・ ・






はぁぁああぁあぁぁぁぁ~……暖かくて……気持ちいい……眠くなってきちゃう……やっぱり、冬のおこたは最高ね!


私たちネコは当然のことだとして、人間もおこたが大好きみたい。


わかるわ。


でも、先客がいるのを確認もしないで足を突っ込むのは止めてよね。まるでマナーがなっていないわ。この私を見習いなさい。


ま、いくら注意したところでわかってくれないのが人間だものね。もう諦めたわ。


こういうときにはあいつに愚痴を聴いてもらいたいのだけれど。


……んっしょ……はぁ、おこたの外は寒いわね。


さて、あいつはどこかしら……うーん……こっちではない……あ、いたわ……って、げ!


……こ、こほん。


あら、これだけ寒いのにお外で走り回っているなんて……やっぱり毛皮の違いかしら? ちょっとだけ羨ましいじゃない。


よく見たら雪が積もっているわね……ということは、肉球にも違いがあるのかしら?


って、そういう分析はしなくていいのよ!


まったく……ホント、あいつは元気でいいわね。


……お外、大好きだものね。


私は真逆よ。家の中でじっとしているのが好き。


だから、私とあいつは、反りが合わない。






 ・ ・ ・






私だって、散歩に出かけたくなるときがある。


ただのんびり歩いたり、狭いところを探したり、体型を維持するための運動をしたり。いつもそんな感じね。


でも、たまに下品なやつらと出くわすこともあったりして、そういう日はいつも以上に疲れちゃうの。


私がおでかけから帰ってくると、あいつはいの一番にお帰りと言ってくれて、そして、自分の水入れを私に使わせてくれる。


あいつにはそういうところがある。


他にも、人間が何かを失くしてしまったと騒いでいると、あいつはそれが何なのかもよくわかっていないのに、あちこちを探して回るのよ。


あいつはそういうやつだと、私は知っている。






 ・ ・ ・






私が塀の上でひなたぼっこしていたいとき、あいつは私を遊びに誘いに来るの。


私はそれに付き合ってあげる日もあれば、そうじゃない日もあるわ。


遊んであげると、私は決まって疲れてしまい、終わった途端に寝床へ向かって一直線よ。


それで、私は意識が落ちるぎりぎりまで、遊びに付き合ったことを後悔したり、感謝したり……。


そうしていると、こんな考えが思い浮かぶの。


私はなんで、あいつと遊ぶとこんなにも疲れてしまうのかと。


もしも……もしも最後まで疲れきらずにいられたのなら……毎日だって、あいつと遊んであげられるのに……。


そうしたらきっと……毎日が……もっと……楽しく……なる……のに……。






「……また遊ぼうね。おやすみ」

ヌコを飼ってみたいと思う今日このごろ。

短いお話でしたが、いかがでしたか。

これは自分が対人関係から想起した考えを擬獣化(?)した小説です。


ちなみに、このお話って変則型アルジャーノンなのでは? と思ったり、思わなかったりしています。

「アルジャーノンに花束を」は名作なので、読んだことがない方はぜひ読んでください。

そして知人に勧めるのです。

……なんで私は自分の作品の後書きで、人様の作品をダイマしているんでしょうか?


以上。絵が描けたら絵本にしたい! 志賀雷太でした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ