2 ポンコツな理由
早々にネタバレ
さて、では何故紗夜がこんな性格になってしまったのか………まあ、ハッキリ言えば俺のせいだったりする。
アルビノというのは今でこそ、そこそこ広まってるし偏見もそれなりに少なくはなってきてるけど………それでも、どうしても他人と違うというのは子供の世界、ひいては大人の世界でも必ず悪目立ちしてしまう。
俺と紗夜は保育園から一緒のクラスになることが多かった。家も隣同士で、俺もアルビノのことを特別気にしたこともなかったので昔から紗夜は俺にベッタリだった。同じクラスで紗夜が虐められるようなことがあれば俺が必ず守ってきた。
とはいえ、ずっと側にいては同性の友達は出来にくい。俺もなるべく女子とは仲良くしてはいたけど、やっぱり異性だと友情に微妙な違いもあるし、あと紗夜が嫉妬してしまうというのもあり、何より男子と女子が別れて行動することになれば紗夜はひとりぼっちになりかねない。
そこで、紗夜に偽りの仮面というか、コミ障を直すためにあれこれと見よう見まねで会話術を教えてどうにか女子の友達とは喋れるようにしたのだが……まあ、とはいえそんなのずっと続けるのは難しい。何より紗夜は大きくなるにつれてどんどん可愛くなるし、俺にだって紗夜への独占欲などもある。
なので、男子には冷たく、俺の前だけで本音を出すようにしたのだ。紗夜としても俺のことが好き……というか、依存レベルで愛を向けられてるのである意味本音で断れるのだろう。
うん、まあ本当に俺のせいだよね。
我ながら紗夜の好きが恋愛感情なのかどうか微妙なラインから好意を伝えたので卑怯かもしれないけど……やっぱり、大好きな幼なじみを守りたいと思ったんだよね。
紗夜としてもアルビノに生まれたことをかなり気にしてるし……そんな姿を見たら守りたくもなるでしょ。あと……紗夜は俺が母子家庭だと知っても何も変わらなかったからそれもある。
母子家庭と話すと大抵は可哀想みたいな顔をされてしまうからね。まあ、仕方ないこだし同情するなとも言えないけど……そういう偏見なく俺のことを好きだと言ってくれればそりゃ好きにものるさ。
そう、結局のところ俺は紗夜のことが大好き過ぎるのだろう。紗夜みたいにダイレクトに好意を伝えすぎたりはしなくても、本心では紗夜に依存しまくってる。学校でだって、本当はずっと一緒にいたいくらいだが……本人が俺の側だと演技が出来ないと言うので仕方ない。
遠くから友人と駄べりながら近づく男が振られるのをざまぁとホッとしながら見るしか出来ない。まあ、嫌な奴だよね。
「あっくん?どしたの?」
「なんでもないよ」
髪を梳かしながらそんなことを思うけど、でもそれでも俺は紗夜が大好きなのだ。