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1年生 夏2

 あの決闘事件から1ヶ月が経ち、梅雨が明けた。その頃には、完全にセレナへのいじめというのがなくなっていた。中庭の一件で完全には、無くならずポツリポツリとあった。それは、全部私が10倍にして返したので問題はないが、それでもいじめようとする愚か者は何人かいた。


 しかし、セレナをいじめる理由は何人ものイケメン達に取り入ろうとした平民の女だったのだが、今では彼女は、


 「エリちゃーーん!」


 と私に猛ダッシュで抱きついてくるくらいに私にベッタリしてくるので、イケメン達と一切関わらなくなった。


 「はぁはぁ。さぁ、エリザ俺を蹴ってくれ」


 最近は、私に付き纏い気持ち悪い事を呟くド変態ドM王子に対しては、


 「アーサー様、あなたと同じ空気を私もエリちゃんも吸いたくないので、私のエリちゃんから離れて二度と姿を見せないでください」


 と毒を吐くくらいにはなった。一応あれ王子だけどいいのかな?


 「はぁはぁ、セレナの言葉攻めもいいが。俺はやはり、エリザの蹴りが欲しい」


 よさそうだ。


 「うわぁ、ないわー。エリちゃん、こんなやつほっといて早く街に新しく出来たケーキ屋さんにヨシエさんと一緒に行こ」

 「わかったわ」

「その前に俺を踏みつけてくれエリザ」


 とド変態ドM王子が私とセレナの邪魔をするので、私は用意していた笛を吹いた。


 ピーと音がなって30秒もすると、


「なんだ、アストロン」


 とランスロットが駆けつけてきた。

 私は、アーサーを指さして


「回収」


 と一言言うと、ランスロットは


「わかった」


 とだけ言い、


「踏んでくれ」


 とうるさいアーサーを抱え去っていった。


 ランスロットは、さすがに私の奴隷にはならなかったが最近暴走気味のド変態ドM王子の抑止力になってくれている。笛をひと吹きすれば、瞬く間に来てくれて痴態をさらす王子を回収してくれる。なんか犬みたいな気がする。


 それは、そうとセレナとケーキ屋に向かって歩いていると、ある男を見つけた。セルギウス・レイス、隣国からの留学生で私を死に追い詰める原因のひとつ。


 奴のルートは特に酷く、影でクーデターを主導していたセルギウスとともに駆け落ちするというくそシナリオだ。


 私のセレナにそんなことさせないためにも、早めに潰すことが大事だ。なので、私は隣にいたセレナに


「ちょっと先に行ってて」


 と頼み。セルギウスに接近した。


「セルギウス・レイス、ちょっといいかしら」

「なんだ、脳筋令嬢」


 NOUKINだと、誰だよこんな不名誉なあだ名をつけたやつは見つけ次第ぶち殺してやる。


「ねぇ、あなた死にたいの?」

「悪かった、それで用はなんだ?」

「あなた、クーデターを企んでるでしょ」

「なんの事だ」


 動揺すらしない、肝は座ってるようね。

「それじゃあ、果物屋と肉屋両方にあなたが裏切ったと伝えましょうか?」

「……なにが目的だ」


 これには、反応したようだ。果物屋と肉屋は隠語でそれぞれ対立関係にある組織でセルギウスは、両方を煽ってる。なんて奴だ、最初から裏切り者じゃないか、さっさとバレてしまえばいいのに。


「魔術教団て知ってる?」

「なんだ、それは?」


 私は、用意していた魔術教団の調査結果をセルギウスに渡す。


「こいつら、アンタにも都合が悪いでしょ。だから、潰すの手伝って」

「……検討する」


 とセルギウスは曖昧な返事をしたので、


「私はあなたに選択肢を2つしか用意してないわ、ひとつは私と一緒に魔術教団を潰す。もう一つは、裏切り者として殺される。簡単な2択よ今すぐ選びなさい」


 セルギウスは私の説得に観念したようで、


「わかった、付き合ってやるよ」

「それじゃあ、私は今からケーキ食べに行くから。あんたはこの指令書通りに動いてね」


 指令書を渡した後のセルギウスの顔はなかなか傑作だった。


「あっエリちゃんこっちこっち」


 とケーキ屋に入るとセレナがぴょんぴょんしながら私を呼んだ。かわいい。


「お待たせ。セレナ、ヨシエ」

「遅かったわね」

「エリちゃん、待ってたよ。早くケーキたべよ」


 私はチーズケーキ、セレナはフルーツタルトでヨシエはショートケーキを注文した。


 「エリちゃん、アーン」


 お互い1口食べると、セレナが1口分のタルトをフォークに刺して私に渡してくる。ここ最近、セレナと一緒になにか食べるとほとんどの確率でアーンをしてくる。女子同士だし私は気にしないが、どうしたのだろう。


 「アーン」


 と私はタルトを1口貰う。


 「セレナ、私のも1口あげるわ」

 「やったー」

 「はい、アーン」


 私からケーキを貰った、セレナは


 「えへへ、えへへ」


 と物凄いはにかんでいた。

 それを見ていた、ヨシエが一言。


「あんたら、バカップルみたいね」


 それに対して、セレナは


「えへへ、そうかなー」


 と体をくねくねさせていた、可愛い。


「そう言えば、夏休みはどうするの?」

「あれに備えるしかないでしょ……」


 そう私が言うとヨシエも頷いた。逆にセレナはキョトンとしていた。


「エリちゃん、アレとは?」

「校内魔術大会」


 校内魔術大会は、バトル漫画の武道会的なイベントで貴族にとっては自身の家の権力を誇示するための大事な大会なのだ。なので私もそれなりに頑張るようには言われてるのだ。


「もしかして、2人とも修行するの」

「うん」

「まぁ」


 もう修行の日程は組んであるのだ。


「海は行かないの?」

「時間ないよね」

「そうね」

「エリちゃんの水着は見ることができないの?」


 とセレナは絶望した顔で聞いてくる、


「今年は無理そうね」

「そんなぁ」


 セレナはぐたりとした。


 まぁ、そんな感じで初めての校内魔術大会の日が近づくのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] へへ。 可愛い。 犬ランスロットは奇妙です。 利口な主人公が面白いです。セレナちゃんは水着を見たくてたまらないです。ははは。アリガトウ。 (日本語が下手でごめんなさい)
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