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2年生 春3

 魔術教団は潰した。これで、意味不明な改造されて殺されるという可能性はなくなり一安心といいたいところだが、まだ私に襲ってくる死亡フラグは沢山ある。でもようやく今日もうひとつの死亡フラグを乗り越えそうである。


 そう、今日はアーサー主催のダンスパーティーである。マスラでは、クリスマスを越え無事に恋人同士になった、アーサーとセレナに立ち塞がる私、エリザベートを追い払うための大事な式典である。ここのアーサーがかっこよかったんだよね、今じゃ見る影もないけど。


 ちなみに他のキャラのルートだとこの日はただのデートイベントになる。この日にアーサーは、まだ、セレナが名残惜しいみたいなセリフを言いながら私と結婚する覚悟を決めるのだ。


 もしかすると、戦争が無ければ、あいつと結婚するルートもあるのかなと思ったりする。


 そうならば、愛はないが平和に生きる事は出来たかもしれないなと考えたが。


 冷静になると、できれば今のアーサーとは結婚したくないのが本音である。正直、あのド変態ドM王子はなしだ。


 現在、私の知り合いのなかで結婚したいと想えるのが、同性だがセレナが1番かもしれない。


 セレナは、抜群に性格がいい。そして可愛い。


 そう考えるとセレナしかありえないじゃん。


 そんなことを思いながらドレスに着替えた。着替え終えたで私を見た、ヨシエは、


「うん、正に悪役令嬢よ」

「誰が、悪役令嬢だよ」


 と私はツッコミを入れる。


「エリザのドレスやメイクなんていかにも悪役ぽいわよ。首に着けたペンダントだけは違うけどね」

「まぁ、これは……」


 クリスマスにセレナからもらったペンダントだ、これは悪役令嬢にはつけられないものだろう。


「言っておくけど、ペンダント以外はアウトだからね。ほら、主人公をみならいなさい」


 と着替え終えて更衣室から出たセレナを見る。


 私は、敗北した。これぞ主人公とでも言いたそうなセレナの風格に完全敗北した。


 なんていうか、これなら逆ハーしてても文句ないくらいに可愛かった。

「エリちゃん、お揃いだね。えへへ」


 と私に近づいたセレナは、私に首に着けたペンダントを見せた。可愛い。


「それじゃあ、私とセレナは先に行ってるから」

「むぅ、私もエリちゃんにエスコートして貰いたかったなー」


 とセレナは拗ねたが、2人とも待合室から出て会場に向かった。


「待たせたな、エリザ」


 とアーサーが入ってきた。


「いえ、大丈夫ですよ」

「もし怒っているなら、俺を蹴って欲しい」


 また、こいつは変態なことを言い出した。


「いやよ、罰と言ってるけどあなたにとってはご褒美でしょ」

「うっ、バレたか」


 こいつは、わたしが気づいてないとでも思っているのか。


「それじゃあ行くか、エリザ」

「ええ」


 ダンスホールは豪勢な作りになっていた。このダンスパーティは基本的には、王族関係者と魔術学校の生徒のみが出席できる。


 このパーティの目的は、国内外にアーサーの婚約者が私だというものを示すものらしい。世間では、私が婚約者というのは有名だが公の場で婚約者というのは言わないルールだった。


「きて、エリザ」

「うん」


 王子様にエスコートされるというのは、女の夢だ。まぁ、この王子様がド変態ドM野郎じゃなければ100点満点だったんだけどな。


「皆の者聞いてくれ」


 アーサーに会場中の視線が集まる。


「私は、そこのエリザベート・アストロンと学園を卒業次第結婚することをここに誓おう」


 アーサーの発表に会場中が祝福ムードになるかと思ったら、


「「「その結婚、ちょっと待った!!」」」


 映画みたいな事がおきた、私とアーサーの前に現れたのは、セレナとランスロットなぜかセルギウスやモルドレッドもいるマスラのキャラが揃ってるな。


「暴力的なアストロンにアーサー様はもちろん、王女なんてやったらこの国の終わりです、他に適任がいるはずです」

「いやいや、エリちゃんに問題は無いでしょ。そこのド変態ドM王子は間違いなくエリちゃんの夫には相応しくないよ」

「なんだと……」

「むむむ」


 と止めに来たはずの2人がケンカし始めたどうなっているんだ。


「兄さんにししょうはもったいない、僕と結婚しよう」


 どさくさに紛れてモルドレッドがプロポーズしてきた、


「なに勝手にプロポーズしてるんですか」


 とセレナはモルドレッドに突っかかる。


「まぁ、脳筋令嬢。お前の力は役に立つ、俺と一緒にうちの国にこないか」

「あんたも!」


 セルギウスにもセレナは怒る。そんな風に怒るセレナは、シャーシャーしてて猫みたいで可愛い。


「じゃあ、私と結婚しないかい」


 とどこからか混ざってきた、スタンがどさくさに紛れて私にプロポーズする。


「「「あんたは、黙ってろ」」」

 セレナ、セルギウス、ランスロットに同時に怒られ、モルドレッドは武器を構えていた。スタン哀れなり。


「ふはははは」


 と突然アーサーが笑いだした。


「お前ら、そんなにも俺のエリザが欲しいか」

「あんたのじゃない」


 とセレナが怒る。


「「そうだ、そうだ」」


 と周りも便乗する。


「本来なら、お前らにエリザを手に入れるチャンスはない。しかし、あげようじゃないか。夏の校内魔術戦、その優勝者にはエリザと結婚する権利をやろう」


 ちょっと私の意思はどうなってんのと言おうと思ったら、


 うぉーー!


 今日一の盛り上がり、当事者だけじゃなくて周りのやつらも興奮してる。逆に私はついてけなかった。


「周りには、提案しておいて悪いが俺が負ける予定はないのでな」

「ししょう、俺は優勝する」

「アストロン、貴様に興味はないが。優勝はさせてもらう」

「脳筋令嬢、まぁ俺が優勝してやらんこともない」


 と攻略対象達に次々に言われた。これなんて乙女ゲー?


「エリちゃん、ぜーたい私が優勝するからね」


 とセレナに手を握られてそう言われてときめきそうになった。しかし、悪いが優勝するのは私である。


 こんな感じにダンスパーティーは終わり、運命の校内魔術戦が近づくのだった。

先に言っておくとこの作品は百合です。どういうことか分かりますね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] あははははははは!楽し!さすが著者さん。
[一言] 死なないように頑張ってたら周りを魅了するところ、大好物です! そしてエリザとセレナにはもっといちゃついて欲しいので頑張ってください。
[良い点] 作者さん、更新はお疲れ様です! セレナさんは可愛いですね! やっぱり百合百合は最高です〜 他の皆もよく阻止する度胸が有るですが、王子さんもよく試合をしてくれますね。皆も良いノリをしています…
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