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試しで番外編で毎日連続更新してみましたが、やっぱり毎日更新の方が見てくれる人は多いみたいですね。
ただ、能力的に無理なのが悲しいところ……。
というわけで、2章もいよいよクライマックスという所まで来ることができました。もう少しダンジョンにお付き合いください。
大陸暦1053年 時の月 3日
=B10階=
5枚のカードを集めなおして来ました。
「1枚の貨幣」のカード。
「1の杖」のカード。
「1つの杯」のカード。
「1振りの剣」のカード。
そして、もう1枚が「道化師のカード」です。
掲示板の話の中で出たヒントを元にB3階まで戻って道化師の鍵を入手した像を調べてみたのですが、足元の台座の部分が開くようになっていて中にカードが納められていました。
意図があって念入りに調べないと気づかないような位置と隠し方でしたし、B6階より下に降りてカード集めを始めてから取りに戻るようになっているんでしょうね。
よくよく考えてみれば、各カードとも王や女王の像やカードに描かれてるモチーフのオブジェと一緒に置かれていたんですよね。なら道化師のカードが置かれているなら道化師の像のある場所……と考えれば気づけた……わけないですよね?
そんなの気づくかーっ、と言いたいところですけど、わかってみると気づけそうなのが何だか悔しい。
それはそれとして。剣のカード一式を集めていたので、A関連のカードを集めなおすために各階のイベントをもう1回こなす羽目になり、結構時間がかかってしまいました。
では、あらためて。
扉に5枚のカードをセットします。
カードが光るとともに五芒星に光が灯り、扉がゆっくりと開きました。よし。これで先に進めますね。
扉の先は小さな部屋になっています。
中には地面に片手で持てるくらいの大きさの四角い物体が全部で6個置いてあり、そこから光線が出て地面に図形を描いています。いわゆる魔法陣、というもので六芒星というものです。
見たことあるやつです。グリムレッドさん討伐のためにプレイヤーが洞窟に置いていた「インスタントポータル」。あれです。念のため〈鑑定〉しておきましょう。
ポータル
種別:魔道具
設置された場所同士を結ぶ魔法装置。
あ、インスタントじゃないんですね。どちらにせよ、これで移動して先に進め、ということでしょう。
……いや、これに入って移動するとダンジョンの壁の中に飛ばされるとかないですよね……。
思わず嫌な考えが頭をよぎりましたが、毒されすぎですね。そもそもここから先に進めないと、私は閉じ込められたの確定になりますし。扉のメッセージは何だったんだ、となります。
=???=
よく考えたらポータルというものを使うのは初めてだったかもしれません。何か不思議な感じでした。
さて、中に入って違う場所に移動したわけですが、ここはどこでしょうか。
ああ、その前に掲示板に無事クリアできたと報告しておきましょう。
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506:人竜/央域/♀
報告です。B10階の扉ですが無事開いて先に進めました。色々と謎解きに協力していただきありがとうございました。
507:人間/西域/♂
クリアおめ。力になれたならよかったよ
所で場所が変わってるけど何かあった?
508:ハーフエルフ/西域/♀
おお。クリアおめでとうございます。道化師のカードで正解だったんですね
509:人間/西域/♀
ほんとだ。現在位置が央域になってるね
510:人竜/央域/♀
扉の先がポータルになっていたので入って移動しました
確かに表示が央域になっていますね
511:ハーフエルフ/央域/♀
設定的に迷宮都市エルスナードが大陸央域にあるのは不思議じゃないからほんとにたどり着いたのかも
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掲示板に書き込みをしたら現在位置が大陸西域だったのが大陸央域に変化していました。
こんな所で自分が移動したのを体感するとは思いませんでした。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
あらためて、周囲を見渡してみます。
まず、目の前に1本の水晶の埋め込まれた柱があります。
【復活地点に指定できます。指定しますか?】
触れると、いつものメッセージが流れました。はい、を選んでおきます。
その先には広い通路が1本、真っすぐ伸びています。
今までの通路と違うのは、幅20メートルくらいでずいぶん広くなっています。天井がアーチ型になっていて、こちらも今までの通路よりはるかに高くなっています。あと、通路の両側に等間隔で灯りが設置されていますね。
というか暗闇でも目が効くので気づいてませんでしたが、ここ、明るいんですね。
どんな灯りなのか近くで調べてみましたがよくわかりませんでした。火とか電気でないのは間違いありません。魔法でしょうかね?
……試しに食べてみようかと思いましたがやめておくことにします。
警戒しながら通路を歩いて行きます。
罠は特にないようです。というか、何となくですけれど、今まで雰囲気が違う気がします。
今までのどこにどんな罠が、危険があるかわからない暗いダンジョン、という感じではなく古い由緒ある建築物、という感じです。あくまで印象なのですが……上手く雰囲気が言葉になりませんね。
しばらく歩き続けると、前方に扉が見えてきました。
いえ、扉というよりは門ですね。ただでさえ大きなこの通路に合わせる形で巨大に造られた扉が遠目に見えてきます。
「そこまでだ」
不意に声がして、びくっと足が止まりました。
「足元に白いラインが見えるだろ? 門から10メートル、そこが『死線』だ。そこから先に足を踏み入れたら、俺はあんたと戦わにゃならん」
声の通りに足元を見ると、確かに通路に白いラインがあります。
前方よりゆっくりと近づいてきた人影は。ぱっと見た感じでは恐竜の骨格標本、に見えました。
ティラノザウルスとかいますよね? ああいう感じです。私より一回り大きいのですが、牙の並んだ口が突き出した頭部、二足歩行で、背中側に尻尾が長く伸びています。
そんな骸骨が、鎧をまとって黒い長槍を持っています。
「おかしいな。恐ろしく強い魔竜の気配を感じたんだが、目の前にいるのはちっこい嬢ちゃんだけだ」
手に持った槍を肩にかついで、こちらを見下ろしています。
どう見てもスケルトン?なのですが、いきなり襲ってくる様子はないようです。何より今気づきましたけど、この人、私の知っている言葉───ドラゴン語で喋ってますね。
「……どなたですか?」
「俺か。俺はここの門番だ。まあ死んじまって今じゃこんなナリだけどな。そういう嬢ちゃんは何者だい?」
「私ですか?……色々あってこのダンジョンに入りこむことになって出口を探してたらここまで来てしまった……まあ、迷子みたいなものでしょうか」
「ちげえよ!」
びっくりしました。急に大声を出すので。
「その気配だよ! どう見ても見た目ただの人間なのに恐ろしいほどの竜の気配を漂わせてるあんたが何者だ、て聞いてるんだよ」
「あ、ああ……私、人竜という種族なので……元は人間だったんですけど……王魔竜のグリムレットさんの竜珠を継承したので人竜になってしまったんです」
竜珠を継承したのは言わない方がいいかな、と悩みましたが、目の前の存在はどう見てもモンスターですし、こんなダンジョンの奥にいるモンスターに話してもたぶん問題ないだろうと、いうことで話してしまいました。
「人竜!?あのイグニクスの野郎と同じか!?しかもあのグリムレットの竜珠を継承しただと!?マジか!?」
「あれ、お知り合いです?」
予想外の反応が返ってきました。
「おう。黒の王魔竜グリムレット、て言やあ、暴れん坊の王魔竜として定期的に被害を出すまさしく魔竜の王って奴でな。しかも黒竜はブレスを吐かない代わりにずば抜けた身体能力を持っている。俺たち戦士にとっちゃ、目指すべき越えるべき強さを持った存在、だったわけだ」
「えっ」
グリムレットさんが暴れん坊?
そんな印象まったくないんですけど……むしろ温和で知的だった気がしますが。
「俺も何度もあいつにゃ挑んでいいとこまでいったんだがな……ところで嬢ちゃん。何があった?竜珠を継承した、てことは、あいつは死んだんだろ?あの黒の王魔竜が死ぬ、てのは穏やかじゃねえ」
んー、一から全部話していいものかどうか……ただ、この感じ、グリムレットさんのことをよく知っているようですし、悪い人(?)ではなさそうな感じです。
「長くなるかもしれませんがいいですか?」
「おう」
スケルトンの人は腰を下ろして胡坐をかいて座ったので私も床に座って、話を始めました。
私のこと、私があそこで体験してきたことを。




