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よく考えるとちっとも日記になってなくてタイトル詐欺になってないかというジレンマ。
ゲームが始まれば日記ぽくなるはず……作者がゲーム日記気分で書いてるという意味もあるということで……。
翌日。専用機器にメールが2通届いていました。
キャラクターの設定が確定し、「アナザーアース・クロニクル」の世界へのキャラクターの登録が完了しました。ログインし、データをご確認ください。ゲームを開始する前に注意事項の説明をさせていただきます。またプレミアムアカウントのお客様にはキャラクターのゲーム開始までの半生を短時間の映像としてまとめたキャラクターPV作成サービスを提供させていただいております。詳しくは公式ホームページをご覧ください。
1通目はキャラクター完成の連絡です。昨日、教えられていたものですね。もう1通は何でしょう。
お客様のアカウントにはキャラクターPV作成サービスの設定がされています。作成されたキャラクターPVは添付のURLからダウンロードしてご覧いただける他、ゲームにログイン中もVRとして体験していただくことが可能です。なお、動画に関する権利は「アナザーアース・クロニクル」運営にあり、キャラクターPVの映像を運営が公式に使用する場合があります。ご了承ください。
本文とは別に何やらリンクがついているようです。私は昨今のゲーム事情や技術については詳しくないですが、1日であの最初にログインした時に見たような映像が作成できるというのはなかなかすごいことだと思います。(後で調べましたが、プレイヤーキャラクターの歩んできた人生をキャラクターメイキングする「アナザーアース・クロニクル」ならではのサービスのようです)
ちなみに公式ホームページでお値段見ましたが、私なら絶対に頼まないサービスでした……まあ、できてしまったものは仕方ないのでせっかくですからまずは見てみることにしましょう。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
あなたの名はノエルリージュ・ロスフェラード。
父親の名はカイングラッド・ロスフェラード。
母親の名はマリアレシア・ロスフェラード。
由緒正しき国「ロスフェラード聖王国」の第二王女としてこの地に生を受ける。
あなたが王宮で生まれた時、王宮の周囲には野犬や狼などの獣が、屋根には多くの鴉が集まり、あなたが生まれると同時に一斉に吠え騒いだという。翌日には王宮の中にはどこから現れたか毒蛇や毒虫があふれ、城に勤める人たちを恐れさせた。
その生まれた時の逸話から、あなたは特別な子供であるのではと思われていたが、あなたの姉アリスラーナ・ロスフェラードが大いなる魔術の才を誇り、あなたの妹シルティスレイ・ロスフェラードが天賦の武の才を見せていたにも関わらず、あなたの能力はごくごく平凡なものだった。
それでも両親の愛は姉妹に変わらず注がれ、姉妹仲、家族仲もよく、美しく育ったあなたとあなたの姉妹は『ロスフェラードの三美姫』と呼ばれ、幸福な家庭であなたは暮らしていた。
頭の良さでは姉に、運動能力では妹にかなわなかったあなたは自然と2人とは違う道を選び、進むことになる。あなたが趣味として選んだのは園芸と動物の世話だった。あまり一国の王女らしくない趣味だったが、両親は特に何も言わず、あなたが趣味に没頭することを許してくれた。
あなたには向いていたのか、あなたの世話する小さな庭園は花が咲き乱れ、王宮に飼われる馬や犬はあなたによくなついた。
そんな穏やかな日々は永遠に続くことはなかった。
あなたが15歳の時、「黒の王魔竜」と恐れられた黒竜グリムレットに率いられた魔竜の一団が王宮のある王都を襲撃したのだった。
国王カインと王妃マリアを筆頭に国の騎士や、魔竜と戦うために集った多くの勇者たちが奮戦したものの、魔竜の、何より黒竜グリムレットの力は強大であり、カインとマリアは戦死し、勇者も多くが息絶えた。
戦う力のないあなたは、姉や妹、直属の護衛の騎士、少数の勇者たちに守られ王都から逃げのびようとするものの魔竜に追われることになった。姉アリスと妹シルティはあなたをかばって死に、最後の勇者もついに追いついた黒竜グリムレットによって討ち倒された。
1対1で対峙したあなたもまた殺されることを覚悟したが、黒竜グリムレットはあなたを殺すことなくその手に掴んで飛び立つと、何処かへ連れ去ったのだった。
それから20と2年の月日が流れた。
あなたは眠り続けていた。淡い光に照らされる中、濃厚な黒い魔力が周囲に漂い、あなたの美しかった銀色の髪は長い眠りの中でいつの間にか黒く染まっていた。
そんなあなたを見守る1つの影があった。同じく美しく輝くような黒髪を伸ばした鋭い目をしたその男は眠るあなたのことの様子を、よく伺いに来ていた。
「……まだ、目覚めないか」
その呟きはあなたには聞こえてはいなかったが、何かに呼ばれたかのように、あなたはゆっくりと目を覚ましたのだった。
その身に女神の祝福と異界の魂を宿した新たなる命、「ノエル」として。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「よくお戻りになられました。キャラクターの完成と登録に伴い、修正されたアバターをあなたに適用させていただいています。問題ないか確認ください。問題がなければ、ゲームを開始する前にいくつかの注意点の説明をさせていただきます」
ログインすると以前と同じ真っ暗な空間でにこやかにフェルエさんが出迎えてくれました。
以前は自分の姿がぼやけてよくわからないような状態だったのが、キャラクターが完成したおかげでアバターになっています。フェルエさんが等身大の姿鏡を持っているのでそこに映る形で自分の姿が確認できます。
光なんてなさそうな暗闇で、鏡に映った姿が見えるのか、というツッコミは野暮ですね。
見た目は以前に見た登録済みの和風美人の姿そのままです。いかにもなドレスをまとってちゃんとしたお姫さまに見えるのは自分自身でびっくりです。ただ、胸がちょっと残念なことになっているのでやや似合ってないと言えば似合ってないように見えますが。
そして何より違うのは、目です。瞳孔が縦に割れ、明らかに人間のものではない目。現実で言うなら……ワニが近いでしょうか。
と。思わず自分の姿にしげしげと見入ってしまいましたが、今はそれどころではありません。キャラクターPVを見て、とにかく聞かないといけないことがありますから。
「作成されたキャラクターについて質問があるんですが、いいですか?」
「ええ、どうぞ」
「どうして『公式NPC』が私のキャラクターになってるんでしょう?何かの間違いでは?」
昨日、キャラクター作成完了後、「アナザーアース・クロニクル」についての情報を集めたりしました。なので、キャラクターPVを見てすぐに気づきました。
そう。このキャラクター、あのオープニングムービーに出てた、黒い竜にさらわれるお姫さまですよね?




