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 大陸暦1052年 空の月 8日



 やっと上の階層へ上がるハシゴを発見しました。落下した部屋のすぐ隣でした。


 一応親切設計になっていたんですね。


 そのハシゴがある部屋への扉が隠されていてすぐには見つからないようになっていたんで階層の通路を全部歩きまわることになったあげくに、落下した部屋への扉がないことから隠し扉に気づいて隠し扉をひたすら探し回ることになったんですけどね。



 =B2階=



 ハシゴを登るとすぐに地図ができている場所に戻ることができました。つまりここがB2階、さっきまでいた階層がB3階で確定です。


 いったんB1階から降りてきた場所にある復活地点に戻ってステータスを確認することにします。B3階をほぼ歩き回ってかなりいろいろやりましたしね。



【キャラクター名】ノエル

【HP】80/80 【SP】48/48 【MP】86/86

【ステータス】

 [体力]9

 [生命]30

 [器用]25

 [敏捷]7

 [知性]13

 [精神]20

 [魔力]46

【スキルとアーツ】

 〈竜闘術・王魔★〉LV9 〈状態異常耐性〉LV6 〈礼儀作法〉LV4

 〈園芸〉LV1 〈調教〉LV1 〈動植物知識〉LV1 

 〈魔力知覚〉LV1 〈気配察知〉LV6 〈鑑定〉LV10 

 〈魔力操作〉LV22 〈魔力奪取〉LV12 〈睡眠負荷軽減〉LV8 

 〈MP回復率上昇〉LV5 〈竜の胃袋〉LV15 〈裁縫〉LV4

 〈地図〉LV6 〈鍵開け〉LV1 〈罠察知〉LV8

 〈HP自動回復※〉 〈SP自動回復※〉 

 〈MP自動回復※〉


 アーツについてはこんな感じです。


 〈ドラゴンクロー★〉LV7

 〈ドラゴンスケイル★〉LV16

 〈ドラゴンバイト★〉LV4

 〈ドラゴンブラッド★〉LV2



 ステータスは魔力はかなり高くなっています。確か普通の人間で最大値99、その他の種族で得意能力値が120、苦手能力値が65、というのを見たのですけれど、それにしては上がりすぎなような気もします。なんでしょうね?



      ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇



 だいぶ成長したおかげでB2階の探索はそれほど苦労はしなくなりました。〈ドラゴンスケイル〉のレベルがかなり高くなったことと、B3階でいやらしい敵ばかり見てたんでこの階に出てくる特殊攻撃がほぼないボーンゴーレムやラット、バットたちがすごく普通に見えるようになったからでしょうか。


 コインも初見はびっくりするんですけど、行く先々で落ちている所から襲い掛かってこられるとだんだん驚くより笑ってしまうようになってですね……。


 あと〈罠察知〉スキルが役に立ってくれています。落とし穴とかにも気づくようになりました。ただ「何かありそう」って気配だけで、どこに何があるかはわからないんですけどね。




 探索を続けて行くと、あまり広くない小部屋が連続する場所に入りこみました。部屋に入る、入ってきた扉以外に扉が1つだけある狭い部屋に出る、次の扉へ入ると同じような部屋に出る、が繰り返されます。


 どうもこのダンジョン、扉を開けて部屋に入ると、それに反応して敵が出現するようです。


 なので、おかげでひたすら戦い続ける羽目になっています。まあ、出てくるのはダンジョンラットやダンジョンバットばかりなのでいいんですが。


 と、進んでいると、少し変わった部屋に出ました。


 少し広くなった部屋で、一面に枯れた茶色の植物に覆われている部屋です。


 入ってきた扉の正面に扉があり、先に進むにはこの枯れた植物を踏み越えて行かなければならないようです。


 〈罠察知〉に反応がないので罠はなさそう。


 意を決して、部屋の中に入ってみることにします。


 右手側から、何か飛んできました。〈ドラゴンスケイル〉が反応します。


 〈ドラゴンスケイル〉ごと、何かが右腕に巻き付きました。よく見ると、茶色の蔓のようです。


 あ、まずい。


 左腕、両足に次々と蔓が絡みついてきます。


 ノクターナルさんとの模擬戦でさんざん尻尾で絡みつき攻撃されたのを思い出しました。こういう「命中するとまずいので回避しないといけない攻撃」は苦手なんですよね。


 蔓が私の動きを封じたのに呼応し、正面から次々と何かが飛んできます。


 同じように茶色の蔓なのですが、真っ赤な花びらの花が咲いています。


 全部で5本。飛んで来たその蔓の先の花が噛みついてきました。


 〈ドラゴンスケイル〉を牙が貫通して、私に刺さります。合わせて赤い花粉が周囲に飛び散ります。


 蔦の飛んで来た先に〈鑑定〉!



 カニヴァラスヴァイン

 種族:植物

 レベル:17

 属性:土

 スキル:〈絡みつき〉〈麻痺〉



 すごくどうでもいいですけど、このゲーム、モンスター名がわかりにくいですね!


 カニヴァラスヴァイン、日本語にすると「肉食のつる植物」というところでしょうか。茶色だから枯れているのかと思ったら、光合成しないで肉を食う生態のようですね。


 それもう植物じゃなくて動物なのでは。


 それはともかく、スキルに嫌なものが見えました。


 〈麻痺〉です。


 状態異常耐性と〈ドラゴンブラッド〉で抵抗してましたが、だんだん体がしびれて動かなくなってきました。


 蔓がさらに絡みついて、私の力じゃとてもじゃないですが、はがせそうにはありません。


 こいつ、こうやって動きを封じてゆっくりと獲物を食べてしまうのでしょう。


 1人だと行動不能系の状態異常は実質、死を意味しますね。


 まあ。


 それは普(・)通(・)の(・)人(・)の場合、ですが。


 麻痺した上に蔓で動きを封じられたら、当然戦うことも、声や動作を封じられて魔法を使うこともできません。


 けれど〈竜闘術〉は発動させるのに動作も発声も不要。意識さえあれば発動が可能です。


 〈ドラゴンクロー〉で飛んでくる蔓を薙ぎ払います。


 ただ本体はどうやら部屋の奥にあるようで、蔓をいくら切ってもダメージにはならないようです。


 体は麻痺して動かないので、本体に近づくことはできません。


 仕方ありません。


 〈魔力操作〉で魔力を伸ばして〈ドラゴンクロー〉を遠くで発動させ、斬りつけます。


 本体は割としっかりしてるようで、傷はつきますが、斬れたり倒れたりはしないようです。


 仕方ないのでこのまま攻撃を続けましょう。ただこの場合、MP消費が発生するのでいつもの多重発動攻撃をしようとするとMP消費が膨大になりすぎてしまうので使えません。


 つまり普通に攻撃するしかないわけですが……MPが尽きる前に倒せるかな……。



 しばらく〈ドラゴンクロー〉で斬ったり、〈ドラゴンバイト〉でもぐもぐしたり(ちなみに味は和風ドレッシングのかかったキャベツという感じでした)した結果。絡みついていた蔓が力なく地面に落ちて、解放されました。無事、勝利です。


 MP残り5。よかった……ありがとう〈魔力奪取〉。あれでMP回復してなかったらたぶんMP切れで攻撃できなくなってなすすべなく食べられてました。


 しかし、まだ問題は残っています。


 体は〈麻痺〉して動きません。


 床に倒れて動けない状態なのですが、この状態ですと休憩とは見なされないので自動回復は発動しません。


 なので残りMP的に〈ドラゴンブラッド〉で麻痺を治療することもできません。


 そしてこの状態でも【空腹度】【渇水度】は増加していくんですよね。


 〈麻痺〉が自然治癒するのが先か、【空腹度】【渇水度】が100になった上でダメージで死ぬのが先か。


 他のモンスターは基本的に部屋に入ってくることはないはずなのですが……こう、まったく動けないまま床に転がったまま、というのもむなしいですね。


 あ、体を残してログアウトして、休憩してきましょう。



 大陸暦1052年 空の月 9日



 =B2階=



 ログインしたら〈麻痺〉は回復していました。餓死することはなかったようです。


 金貨でも食べて、【空腹度】【渇水度】を回復したら先に進みましょう。


 カニヴァラスヴァインのドロップ品はなくなっていました。さすがに倒してから時間があきすぎたせいか、途中で〈ドラゴンバイト〉で齧ったせいか……。




 たくさんの小部屋が続いていた場所ですが、次の部屋がどうやら終点のようでした。


 モンスターは出てこないで、部屋の真ん中に彫像が立っています。


 つば広の帽子をかぶり、仕立てのよさそうな服とマントを身に着け、ギターのような楽器(後で調べるとリュートと言って、ファンタジーでは定番の楽器だそうです)を弾いているポーズをとっています。


 そして首にネックレスのように鍵がぶら下げてあります。


 そう言えばB3階でも似たような像があって鍵がありましたね。


 そっと、首から外して鍵を回収します。



 詩人の鍵

 分類:イベントアイテム

 レア度:1

 品質:A

 重量:-

 吟遊詩人の像が持っていた鍵。



 〈鑑定〉するとこんな感じでした。B3階で入手したのが道化師の鍵。これで2つ目ですが、このダンジョンのどこかで使う必要があるものなのでしょうか。



 なお、この階層ではその他には降りる階段しかありませんでした。


 どこか別の場所につながっていて地上に出られるようにはなってはいないようです。


 どんどんダンジョンの深い所に行くはめになっているんですが、どうしましょうか。


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