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食事はVRMMOネタでは定番ですね。

 大陸暦1052年 氷の月 18日


 結局、その後ひたすらノクターナルさんの攻撃を防ぐ練習を続けて、〈竜闘術〉はレベル3に、〈ドラゴンスケイル〉はレベル5になり、〈ドラゴンスケイル〉は無事、攻撃されたら自動的に発動するようになりました。ただし、あくまで魔力=【MP】を消費しない大きさだけなので、例えば魔法による範囲攻撃に巻き込まれて全身を防御しないといけなかったりすると、自分の意志で大きさを変えて発動させないといけないとのこと。


 ところでもう1つのアーツ〈ドラゴンクロー〉はまったく練習しなくてよかったのかな、と思いましたが、ノクターナルさんに聞いてみたところわかりやすく目をそらしていたので、たぶん〈ドラゴンスケイル〉の練習に熱中して忘れていたのでしょう。


 あ、あと[器用]が1、[敏捷]が1、[精神]が1、[魔力]が3上がっていました。【ステータス】も結構上がるもんですね。


 で。〈竜闘術〉が3レベルになったところで、新しくアーツを1つ覚えました。名前は〈ドラゴンバイト〉。ノクターナルさんに聞くと、どうやらこれが目当てのアーツのようです。


 「〈ドラゴンバイト〉は牙と噛みつきで攻撃するアーツ。爪、牙、角、尾。主な竜の武器はその4つだけどそのうちの1つになるね。噛みつき、食いちぎる、というのは『食べる』ということにつながる。だから〈ドラゴンバイト〉のアーツは追加効果で【空腹度】と【渇水度】の回復効果があるんだ。ただし『異人』の言う『ドロップアイテム』はなくなっちゃうんだけどね」


 確かにこのアーツがあれば食事には困らなさそうです。生肉なんて食べられない、と思っていましたが生肉ではなく生きたまま食べることになりそうですが。


 「これは外にいるミドルラビットで試してみようか。〈ドラゴンスケイル〉のレベルも上がったし、もう1人で狩れるはずだよ」


 というわけでノクターナルさんに見守られながら、ウサギモドキことミドルラビットがいる所にやって来ました。わりと近づいているんですが気にせず草を食べています。どこかでこういう状況を見たな、と思いましたが、あれですね。現実のハトですね。あれも本当に危険なら慌てて逃げますが、そうでないなら人がそこそこ近くにいてものんびりしています。


 では、私の記念すべき初撃です。いざ……〈ドラゴンバイト〉!


 自分の魔力がぐにゃりとゆがんだ感覚がし、空中に鋭い牙が並んだ「口」が現れました。そして一直線にミドルラビットに襲い掛かります。


 が。


 迫りくる脅威に気づいたのか、ミドルラビットは横飛びで噛みつきを躱しました。


 まずい、逃げられる。と、とっさに私は思いました。見た目がウサギだからでしょう。ただ私は勘違いしていました。こんな姿でもこいつ、「モンスター」なんですよね。


 横飛びに私の攻撃をかわしたミドルラビットですが、次の瞬間、すごい跳躍力で私にとびかかってきました。育っててよかった〈ドラゴンスケイル〉。高速の突撃は自動発動した〈ドラゴンスケイル〉の黒い鱗に阻まれて、私の目の前で止まります。なるほど、さっきまではノクターナルさんとの練習だったので普通に対応できていましたが、実戦だと自分の攻撃した隙をつかれたり、相手の向かってくる気迫やプレッシャーを感じたりする中で適切に対応しないといけない難しさがあるんですね。


 よくよく考えるとゲームなのに相手の迫力や敵意まで感じられる、というのはVRってすごいですね。


 とにかく。相手は体当たりを防がれて動きが止まりました。以前のレベルが低いままだと勢いでこちらの態勢も崩れていたかもしれませんが〈ドラゴンスケイル〉のレベルも上がったのでこれくらいなら全然平気です。


 2回目の〈ドラゴンバイト〉!今度は命中し、巨大な口がミドルラビットに噛みつきました。本来ならえぐれた傷口や流れる血が見えるのでしょうが、そこはゲームなので特に変化はありません。

 ただ、1回の噛みつきではまだミドルラビットは生きているようです。口自体はすぐ消えてしまうので、すぐにもう1発〈ドラゴンバイト〉を叩き込みます。2回目の噛みつきで、ミドルラビットは消えてなくなってしまいました。


 I WIN! 初めての戦闘に勝利です。


 ちなみに〈ドラゴンバイト〉は命中さえさせたら倒せなくても【空腹度】と【渇水度】が回復するようです。味は特に何も感じませんでした。


     ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇


 その後、順調にミドルラビットを3匹倒したところでノクターナルさんからストップがかかりました。一応、子供パピーが狩りの練習の獲物にするのであんまり1人で狩りすぎるのもよくないとのこと。

 

 なので、ノクターナルさんとの組み手に移行します。あと使っていなかったアーツ、〈ドラゴンクロー〉の練習もします。どんなアーツかというと……ノクターナルさんがさっき〈ドラゴンスケイル〉の練習の時に使っていましたね。鋭い爪のついた手を魔力で作って攻撃するアーツですが、鉤爪で引っ掻くと斬りに、鋭い爪を突き立てるように突くと刺しに、純粋に手と見て握り拳としてパンチすると打撃に、と万能な攻撃手段となるとのこと。


 まずは私が〈ドラゴンクロー〉でノクターナルさんに攻撃をし、ノクターナルさんがそれを防ぐ。しばらくしたら今度は攻撃と防御を織り交ぜての実践的な組み手、となりましたが。


 いや、当たり前なんですけど全然歯が立ちませんね。もちろんお互いに〈ドラゴンスケイル〉が自動で発動でするので、まず攻撃は防ぐ、のですが。〈ドラゴンスケイル〉で鉤爪を受け止めたと思ったらそのまま鱗を掴まれて押し付けられたりとか、顔めがけて素早く三撃入れて、攻撃を受け止めた〈ドラゴンスケイル〉の鱗が視界を防いでいる間に組みつかれたりとか。


 戦闘は奥深いですね。


 かなりの時間、組み手に付き合ってもらいましたが、そろそろ辺りが暗くなってきましたので今日はこれくらいでログアウトしようかと思います。


     ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇


 ところで、前回は初ログインで色々あって精神的に疲れていたのもあって使用しませんでしたが、「アナザーアース・クロニクル」にはログアウト時にちょっとした機能が備わっています。それは、ログアウト時も自分のキャラクターをゲーム世界に残しておくことができる機能です。


 残されたPCプレイヤーキャラクターはAIによって操作されて、ゲーム世界で活動を続けます。つまりアカウント1つにつき専用のAIが1個ついているわけですね。自立して行動するだけくらいのAIならこうやってゲームの機能として1人1個渡せるくらいには安価になりましたね。


 一応、ある程度の行動指針を指示・設定もできます。私はまだしていませんが、特に何かやっておけ、ということもないので、お任せしておきましょう。そうしておけば今のノエルだとログアウト中も修行に励んでくれるに違いありません。

 

 では、おやすみなさい。

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