3日前の作戦会議
3日前の作戦会議。
「おい…おい!」
何だよ…もう…………………………。
「聞いてるのか?翔太!翔太!」
はっ!しまった寝てた。
今はオトナ戦争の作戦会議。NOT BAD PEOPLEのメンバー(今は俺だけなんだけど)が綾斗の話を熱心に聞いていた。
NOT BAD PEOPLEって何って思った?
NOT BAD PEOPLEとはその名の通り、悪い大人をやっつけるぞみたいな意味で俺がつけた名前だ。
いい名前だろ!
ん?そのまますぎないかって?
良いじゃん。
分かりやすいでしょう!
ってか今日の会合はなんか集中できない。
きっと暑さのせいだ。うん、きっとそうだ。
翔太は聞くのを諦めた。
まぁ、綾斗が居るしなんとかなるだろう。
別にみんなへの説明も綾斗がしてくれるだろうさ。
翔太は聞くのすら諦めた。
窓の外を見る。
もうすぐ夏休みがやってくる。
翔太はふと小学校の旧校舎の方を見た。
3日後、あそこにいるんだな。そう思うと不思議な感じがする。
懐かしいな。小学校。
俺たちの代で終わってしまったけど。
小学校の思い出なんか、忘れるわけない。
廃校となってからは、一度も校舎に行っていない。
なんだか懐かしい。
いっぱい怒られたなぁー。
そういえば、あの時から綾斗はひとつも変わらないなぁ。
相変わらず、しっかりしてて女子からの人気も抜群だし。
それに女子だけじゃなくて男子にも人気があるのが綾斗の凄いところだ。
俺はすぐ横にいる綾斗を見る。
綾斗は学級役員なんかもやっていて、人前で喋るの好きだったよなぁ。
まとまらない話し合いも綾斗がいたらすぐ決まったり。
やっぱり凄いなぁ。綾斗って。
そよそよと涼しい風がほおを伝っていく。
そっと、廃校舎の方に視線を向ける。
よく二人で遊んだな。
そういえば、6年2組の部屋の隅には焦げ跡があったな。
小学校4年生の時に、イタズラした場所だ。
あの時は先輩が喜んでくれたっけ。
懐かしい。
「翔太、校舎を見に行かないか?」
会議が終わった後、ボーッとしている翔太に綾斗が声をかけた。
「うん、行こう」
2人は綾斗の家を出た。
そしてそのまま廃校舎となった小学校へ。
すごく日差しが強くて、もう夏が来たみたいに暑かった。
ジリジリと日差しが俺の腕に食い込んでくる。
小学校への道のりは思ったより近かった。
途中で綾斗が何度か話しかけて来たので、翔太は適当に相づちを打ちながら歩いた。
そういえば、この部屋なんか前きたときより変わってないか?
ふと気付いた。
部屋を横切るようにして横断幕がかけられている。
「NOT BAD PEOPLE」
なかなかかっこいい。
そう思った。
ここで、読者のためにNOT BAD PEOPLEについてもう少し解説しておこう。
ちょっとダサくないか?
そう思ったやつ、俺に喧嘩売っているのか。
俺のセンス、なかなか良いでしょ!
「もうちょっとマシなやつ思いつかなかったのか?
そのままじゃないか。」
横で綾斗のつぶやきが聞こえた。
直訳で、「ダメ 悪い 人々。」
「そのままじゃん。」
ちょっと綾斗、そんなこと言うなよ。
まあ確かに俺も今ちょっと思ったけど。
「お前、もしかして意味わからないとかないだろうな?」
綾斗がちょっとばかにした顔で見てくる。
おい、ひどいぞ我が友よ。
これぐらいなら俺にでもわかるよ。
そんなことを考えていると、気がつけばクラスのみんなが集まっていた。
俺の頭には沢山の??が浮かぶ。
「俺が呼んだんだ。あとで来てくれって。」
綾斗が言う。
みんなバラバラに来たみたいで、ザワザワしている。
きっとみんな、何をするのか説明されてないんだなあと思った。
「みんな、6年2組の教室に移動してくれ。そこで詳しいことは話すから。」
綾斗の声に続いてみんなが移動を始める。
それにしてもさすが綾斗だなぁ。
何も説明せずにクラスのみんなを集めるなんて。
流石だよ。
普通なら理由聞かないといかない人も出てくるだろうに。
こう言う時に人脈がある人とそう出ない人の差が出るなぁ。
階段を上りながら、綾斗に尋ねた。
「みんなにはなんて話して来てもらっているんだ?」
「なんも話してない」
綾斗が真面目な顔で答えた。
「嘘だろう。本当に?」
疑問に思う前に先に言葉が出た。
「本当だよ。みんなには今日ここに来てとだけしか伝えていない。
大事な話があるとしか。」
マジか………………。
「やばくないか?もう3日前だぞ?」
「大丈夫だよ。」
心配そうな翔太をよそに綾斗は淡々としている。
そう行っているうちに、6年2組についた。
そうして、なんとかみんなと作戦会議することになったのだが…………。
「お前、大丈夫か?」
NOT BAD PEOPLEのメンバーの1人の、野中 圭介が尋ねてきた。
ボーッとしている翔太にみんなが注目している。
はっ⁇
俺にはさっぱり意味わからんのだが…………。
そういえば作戦会議というか説明会というか、が始まってからもう2時間もたつ。
俺は大体の内容を事前に伝えてもらっていたので、黙ってボーッとしていただけなのだが………?
「お前、さっきからすっごい表情変わってたぞ。莉緒のことでも想ってたのか?」
みんながニヤニヤして尋ねてくる。
表情?変わってたのかなぁ?
「いや、違うよ。」
みんながあんまり尋ねてくるので、とっさにそう答えた。
本当に違うから。まじで。
ただ単にボーッとしていただけだし。
莉緒とは山根 莉緒のこと。
クラスで一番可愛いんだ。(俺のタイプです………)
ちなみにみんな俺と莉緒が両思いなのは知っている。
だから早く告っちゃえよと行ってくる男子や女子も多いが、恋はそんなに簡単にはいかない。
照れくさいもん。だって。
少しすると、
「マジか?おい!莉緒のこと考えてたのか?」
「それはヤバいな」
「恋の病にかかってしまったのかい?」
たちまちみんながのっかる。
誰も止める奴はいない。
俺の顔はみるみる赤くなっていった。
「おい!顔赤いぞ。」
「どうしたんだ?」
「ワハハハハ」
「ヒューヒュー」
あちこちから冷やかしの声が聞こえる。
誰か、助けてくれよ、
俺は綾斗に助けを求める。
しかし、綾斗は笑っているだけで助けてくれない。
ひどい!
親友じゃん(笑)
そうして3日前の作戦会議は終わってしまった。