第6話
「昨日は、よく休めたようですね。朝食の用意が出来てるので、食べながら今後の予定を話しますね。」
えぇ、休めましたとも。死んで気を失ってたとはいえ、体感的には30時間ほど起きてるわけで、そりゃぐっすり休めましたとも。不満に思いつつも空腹には勝てず席についた。食卓には茶色のパンと茶色のスープ、ベーコン、サラダ。味は、可もなく不可もなく。プルトゥー様は既に朝食を済ませたようで、紅茶を飲んでいる。
「この食事プルトゥー様が作られたんですか?」
「いえ、メイドが作ったものです。」
「メイドはこの部屋に寄り付かないんじゃなかったですか?」
「食事時になると部屋の前にワゴンが置いてあるんです。それに私は紅茶くらいしか入れられませんから。」若干トゲがある。何かフォローせねば。
「紅茶が趣味なんですか?そういえばいい香りがしますし。女性らしくていいですね。」どうだ?効果はあったか?
「そんな事ないですよ」なんて言いながら紅茶を飲み一息つくと、機嫌を良くしたようで紅茶片手に話し始めた。セーフ
「大まかな流れを説明しますね。邪神復活の後、魔族と人間族で戦争を起こします。魔族と人間族の数を減らして充分にリソースを確保できたら、主神が邪神を封印できる加護を勇者に与えます。邪神側は封印される。はっきり言うと出来レースですね。大体100年周期でリソースが不足し始めるので邪神復活も同じ周期で行っているんですよ。」
出来レースねぇ、そんなんでいいのか神様。というかゲームなんかでよくある魔王軍の侵略がこんな理由で起こっていたとは驚きだな、舞台裏見ちゃったよ。
「通常ですと戦争自体は5年から10年で終わるそうです。なので次の周期まで、だいたい90年くらいはお休みです。」
なにそれスゴい超ホワイト、9割休みとかそれでいいのか神様。この待遇で邪神が不人気とか、いや実際窓際的な扱いなのか?
「ここまでが大まかな流れで、ここからは、目下やるべき事についてお話しします。やる事は沢山あるのですが、先ずは魔王軍の再編成ですね。各地に数は集まっているのですが、頭が居ないことには戦争なんて出来ませんからね。取り急ぎ伊勢さんにやってもらいたいのは、魔王として魔王軍の再編成ですね、こちらが集まった魔族のリストです。それが終わったらどの軍を動かすとか進行ルートとか色々です。」
魔王としてねぇ、それで分厚いファイルを渡されたわけだけど魔王軍の再編成ってつまり魔王に人事権があるってワンマン経営すぎない?。
「で、再編成ってどのくらいの規模なんですか?。どれくらい形になってて、いつまでに編成すればいいですかね。」
「多種多様な種族が総勢100万人、ようやく種族や技能の分類が終わったところで編成については全く決まってません、ちなみに期限は1ヶ月です。1ヶ月で邪神復活の啓示が出されます。」
規模がでか過ぎてちょっとよくわからない。1ヶ月で100万人のリストに目を通して部隊編成決めて辞令出すってこと?。素人目に見ても無理だと思うんですが。
「ちなみに分類にどれくらいかかりました?。」
「大臣達だけでは、とても終わらないのでメイドと執事総出で昼夜問わず働かせて3ヶ月かかりました。でも後は10師団の将軍を決めてバランスよく割り振るだけなので簡単ですよ。あと、午後から大臣達と顔合わせも兼ねて会食です。」
そんなもん1ヶ月で終わるか!!あとメイドが寄り付かないのは部屋のせいだけじゃないね。どう考えても酷使し過ぎて避けられてんだよ。
「ハードスケジュールですね。へネス様が居ないのは既に仕事しているからですか?。」
「いえ、まだ寝てますね。基本的に仕事出来ない神なので。」
嘘だろもう9時すぎだぞ、こんだけ予定詰まってんのにか?3食部屋の前に用意してもらって食っちゃ寝してるだけとかニートかよ。
「ちょっと起こしてきますね。」
「えぇ、お願いします。」そう言ったプルトゥー様は既に諦め顔だ。
「起きろ‼ヘッポコ邪神今すぐ働けー‼」
「イッター、何⁉いきなり何なの離していくら私が魅力的だからって朝から欲情するなんt、イッター不敬よ神罰を降すわよ。イーターイー、プルトゥー」
邪神の叫びと共に魔王としての新生活が始まった。