第3話
「一般的に世界では、1つの種族が繁栄し過ぎると、リソース不足の為に、世界その物の存続が危ぶまれる可能性が発生します。世界滅亡、それを回避するために、世界を管理する神々は、災害を起こしたり、疫病を発生させたり、戦争を誘発させたりして、リソースの過不足が無いように循環させ世界を安定させているのです。ここまででなにか質問はありますか。」
俗な話から急に規模が大きくなって面食らったが、聞くべき事は聞いとかないと、後で困る。
「世界滅亡って、どんな事が起こるんですか。あと私がこの世界に呼ばれた理由、具体的に何をすべきなのか。あと、私は交通事故にあったって聞いたんですが、事故相手は無事ですか。詳しく知りたいです。」
彼女は一瞬苦々しく眉を寄せたが、直ぐに何事もなかったかのように表情を戻し話し出した。あれ、もしかして地雷踏んだ?
「世界滅亡とは、神の力をもってしても修復不能な状態。リソースが淀み凝り固まり流転しなくなった世界。具体的な例を上げると、海が干上がり、大地がひび割れ、種が絶滅し、最終的に惑星は砕け、銀河という大きなリソースに飲み込まれます。」
深い溜め息を吐きながら肩を落としそう言った。プルトゥーは世界滅亡に関わった事があるのだろうか。
「あなたには世界滅亡を防ぐために、この世界を滅ぼす。正確には魔人属を指揮して戦争を起こし、増え過ぎた人属と魔人属の数を減らしリソースを確保して欲しいのです。」
「そうなんです。私達、邪神のお仕事は素人同然なので、国に使えていた貴方に白羽の矢が立った訳なのです。」
あっ邪神復活、って言うか国に使えていたと言ってもピンきりで正直戦争とか無理なんですけど。こっちは小さな町役場の窓口業務ですよ、無理無理。
「人選ミスじゃないですか?戦争するなら軍人とか、棋士とか戦術戦略に長けた人の方がよかったんじゃないですか?。」
と軽く非難しながら、なんちゃって邪神を見ると明らかに狼狽して視線をさ迷わせた。
「えーっと、それはそのー、そう!!貴方にしか出来ないのです。貴方は選ばれし者なのです。」
ポンと手を打つと胸を揺らしながらそう言った。明らかに嘘だろ閃いたとばかりに手を打ったし。案の定。
「適当な事を言わないでください。引き継ぎが終わっても、右往左往するばかりで録に仕事もせず、邪神復活の期日が迫り、充分な選考期間も取れずに、適当に選んだだけでしょう。」
真面目に働いてくださいとばかりに、視線の圧力で邪神を牽制しつつ、こちらに向き直って申し訳なさそうに頭を下げた。
「こちらの不手際で申し訳ないのですが、主神側も邪神側も一周期ごとの召喚は一度限りと決まっているのです。どうかお力をお貸しください。」
こんな綺麗な女神に頼まれたら、以下略
俺は快く引き受ける事にした。それにしても世界を滅ぼすか、成り行きとは言えとんでもない仕事を押し付けられたもんだ。