第2話
「えーっと、今回は御縁がなかったと言うことで、またの機会にお願いします。」
君子危うきに近づかずだっけ?面倒事は極力避けて進みたい。とりあえず蘇生してもらった事には感謝して煙に巻こう。そうしよう。
「待ってください、話だけでも聞いてください。必要なことなんです。どうか、どうか。」
すがり付くなよ、邪神の威厳皆無だな、おい。つか邪神が泣くなよ、目がうるうるしてるぞ。なんかこっちが悪い事してる気がしてくるじゃん。どうも邪神らしくないよなーとか考えてたら、とうとう泣き出した。鼻水垂れてんですけど。
「仕方ないじゃないですか。左遷されたんです。夜空の女神様の眷属神だったんです。邪神なんてやった事ないんです。ちょっと躓いて主神様の髪の毛毟っちゃっただけなんです。遠くの世界の邪神なんて、経歴に傷がつくから誰もやりたくない仕事押し付けられたんです。眷属神から大神に昇進なんて羨ましいわーとか嫌味言われてボロボロなんです。もういやーかえりたいー。」
なんか、すいません。神様も色々あるんですね。なんか可哀想になってきた。
一通り泣き喚いて落ち着いてきたのか、若干すすり泣く声が小さくなってきた。すると正面の玉座の裏から黒縁メガネをかけた銀髪ショートカットのクールビューティー。自称邪神のなんちゃってじゃなく、いかにも仕事の出来そうなスーツの女性が出てきた。
なんちゃってに反応したのか、また泣き出した邪神に、はいチーンなんて言いながらハンカチで顔を拭っていく。
「ヘネス様に代わって説明させて頂きます。眷属のプルトゥーと申します。以後、お見知りおきを。」
「はひぃ、伊勢守と申します。よろしくお願いします。」
迫力に圧され、思わず上ずった返事をしてしまうが、こちらに構わず話始めるクールビューティー、マジクール。
「では、まずこの世界の組織図からお話しします。世界の管理者である創造神の下にリソース回収業務をやっている光の神と闇の神、回収したリソースを浄化する命の神と慈愛の神、浄化されたリソースを再分配する大地、水、火、風の属性神。他にも居ますが今は関係無いので省きますね。」
なんか左遷の話もそうだけど、神様の世界も人とあんまり変わらないな、俗っぽいというか何というか、夢のない話だ。