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忘却の白と黒の記録書  作者: オトノシユ
5章 ナッチメイル編
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第11話 1073年の隠蔽






《カラア民族とジャスパの研究について》




カラア民族とジャスパの研究について

私はジャスパの起源たる、約30年前の事件の詳細を調べることにした。これを元に、ジャスパが平和な道へ進めると信じて。

娘と息子に、まだジャスパの事件について教えていない。大きくなった時、教えてやりたいと思っている。






ジャスパを知るならば、まずカラア民族について知らなくてはならない。

彼らは昔はジェミニカで普通に暮らしていたのだ。多数の人と異なるところといえば、能力の突出という点にある。知力、体力、容姿……カラア族はそれらが優れている人が多い。


けれどそれには代償のようなものがある。それは、重大な欠点があることだ。あまり知られていないが、短命であったり、薬草などの薬すら毒になるという特殊な虚弱体質だったするのだ。

そのため、カラア族は両親が揃うことは少なく、孤児も多い。そこで民族全員が家族、という風潮が生まれた。





30年前の事件……1073年の事件。

『カラア民族迫害事件』について。






カラア民族は、昔からジェミニカで普通に暮らしていた。能力で差はあれど、ごくごく普通の国民としてそこにいた。


ただ、カラア民族にはとある宗教があった。それは、現人神と呼ばれる存在を絶対とするもの。

現人神の住む家に行けるのは、カラアの長のみ。その長がカラアの人々に言葉を広げる。そうやって、カラア民族は現人神から高度な知識を手にしていた。


とはいえ、カラアの集会は月に一度程度。一般の人と結婚したり、普通に暮らしていた。


しかし、カラア民族の優秀さを恐れた王が、カラア民族をジェミニカから追放しようとしたのだ。


まず王は、カラア民族が低俗な民族だという噂を広めた。

それから、カラア民族を冤罪で捕まえて見せしめとした。

王の権力を恐れた人々は、徐々にカラア民族から離れていった。そして、カラア民族には近寄ってはいけないという流れが出来上がる。


そしてついに、王は法令をだした。


『カラア民族は皆罪人。逮捕するように』

『カラア民族の家族も、本人を庇うようならば罪人とする』




これに対して、カラア民族もカラアを家族に持つ人々も反発した。何もしていないのに罪人にされるなんて理不尽過ぎる。


そして当時のカラアの長だった女性が、王に直談判へ向かった。




……それから数日後、彼女は死体となってカラア民族のもとへ帰ってきた。




そこからは、カラアは全面的に王と敵対することになった。ジェミニカへの決別のため、まだ幼い長の娘を祀り上げ、王都を去ったのだ。

――巻き込まないために、カラアの血を持たない家族を残して。



残されたカラアの血を持たない、反王族の思想を持つ人々は、王都を離れて西へ渡った。

それが、ジャスパの起源。



そして、行方を眩ませたカラア民族たちが築いた村がカラアの村と呼ばれる。



けれどそこで終わりではなかった。

王都から多くの人が出て行き、国民の王に対する支持率は下がる一方。王の独裁のせいで起こった惨劇。

王を追放しろ、処刑しろ! と声は大きくなっていき……王の側近だった、騎士団長アンモルは主人を処刑する役目を負わされた。


国民の運動により、アンモルの手で王は処刑され、王が独裁政治を行わないように貴族に力を与えた。



これが1073年の事件の全てだ。



貴族の世になった理由は、王の非道な行いとそれを見た国民の声があったからなのだ。





※※※※※※※※※





「王の……残虐な行為。その反動の貴族の世。

ジャスパの誕生と、カラアの決別」


歯車が狂いだした全てが、ここにあった。


でも、それは『もし〜』だとか『あの時〜』だとか言える問題でないってことはよく分かるんだ。

貴族の世になったせいで、俺の家族は死んだ。でも、当時にしてみれば王への対抗策が貴族だったんだ。


「そんで、もう一つ。アンモルって、たしか鈴蘭の活人剣術の師匠だよな……」


周りの声によって、主を手にかけなければならなくなった悲劇の騎士。誰より平和を愛していたと聞くけど……彼が、人の死と自分の力を悲しむ鈴蘭に活人剣術を教えたとなると……感慨深いものがある。


「……あ、続きがある」





※※※※※※※※※





《1073事件の余波》




次に記載しておきたいのは、迫害事件の余波についてだ。


あれ以来、上層部は王の愚行を隠蔽した。

結果国民はカラア民族は卑しい民族だという風潮が正されることなく続いた。


にも関わらず、王の子はカラア民族の女性を愛人として囲み、子供を授かったのだ。


カラアの愛人との子供。

望まれない忌み子。


――タイガ王子の誕生だ。





※※※※※※※※※





「タイガ様が、カラア……?

カイト様とフローラ様とは目の色が違うと思ってたけど……そんな」


ここに来て大きな秘密が明かされた。父さんはどうやってこんなの調べたんだ。命を狙われてもおかしくないくらいの事実だ。


でも、タイガ様がカラアの血筋だとしても、セピアに加担しているようには見えない。俺にとっては特に重要な事実でもないかも。



パラパラと、とりあえず今必要そうなものを探していると、後半乱雑な字になっているのが目に入った。





※※※※※※※※※





《セカイについて》



カラア民族について調べて、現人神の存在に辿り着いた


現人神には気をつけろ


現人神はセカイと繋がっている


セカイは存在自体が禁忌だ


人間が犯してはならない領域


もう全てがおかしい


ずっと昔から人間の罪が…£#™


アイサルエ島が…§‰¤‹€





※※※※※※※※※





「後半は乱れすぎて読めないな……。これは父さんが殺される直前のものなのかな……」


でも、読み取れるところは、アイサルエ島と書いてある。やっぱり、オーパーツの件といいカラアの技術といい、アイサルエ島は重要な鍵のようだ。


……アイサルエ島から来たオーパーツ。

現人神のもたらす先進的な知識。


現人神は、アイサルエ島から来た……、そう考えられないだろうか。


「となると、カラア民族の神はアイサルエ島の人間?」


そして現人神とセカイのリーダーは繋がっているらしい。繋がっているってことは、セカイのリーダーもアイサルエ島の人間とか……?


「かなり、見えてきた……!!」






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