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忘却の白と黒の記録書  作者: オトノシユ
1章 王都騒動編
21/93

第20話 一巻を読み終えて

= = = = = = = = =


【さいごに】


これで一巻は終了です。ここまで読んでくださり、誠にありがとうこざいました。


長々とした文字を読むことは苦痛かもしれません。感覚というのは、多かれ少なかれ刺激を受けて感覚として受け入れます。その刺激と苦痛が少しでも面白さという快感になってもらえていたら、私たちは何よりも嬉しいです。


さて、【はじめに】で言った言葉を覚えている方はいらっしゃいますか?





この世界の物語を、私が創ろう。



《私》が《作者》として。

《他人》という《主人公》を使って。

《現実》という名の舞台で《物語》を創る。



読者様の中には黒幕探しが好きな人もいることでしょう。

物語の主人公を事件へ誘導する作者たる《私》を見つけてみてください。私はこの本の中に登場しますから。





どうですか?

私を見つけることはできましたか?

まだ出てきていないメンバーもいますけどね。


ふふ。お察しの通り、鈴蘭がショールと初めて会うきっかけとなった《正体不明の宿屋の青年》は私たちセカイの一員です。


ジャスパの暴動も私たちがストーリーの山場として用意させていただきました。



最後まで読んでくださった読者様にヒントをお渡ししましょう。

セカイは六人。うち一人は【ヨモギ】です。


他にもセカイのメンバーを各所に散らしているのです。そうすることで色々な組織を動かしやすくなりますから。


さぁ、疑ってください。

誰が味方なのか、誰が敵なのか。


この物語はただ一つの願いから生まれた物語。


その願いのために、主人公を生贄にする物語です。




※※※※※※※※※




「生贄!?」


一巻を全部読み終わった。けど、最後の最後でとんでもない単語を見つけてしまって、少し焦ってる。


ただ一つの願いから生まれた物語。


「その願いのために鈴蘭が生贄になる? そんなの、駄目だ!」


もしもこのセカイが言うとおり、鈴蘭が先輩に会ったのも、ジャスパの暴動が起きたのも、偶然ではなくて仕組まれたことだとすれば……


まるで俺たちは役者みたいじゃないか。物語の登場人物みたいに操られているみたいじゃないか。


「どうすれば……!」


まだ鈴蘭の身になにも起こってない。まだ今なら間に合う。セカイの物語に逆らえば、鈴蘭は生贄にならずに済む。


でも俺の凡人の頭ではどうすればいいのかさっぱりだ。


「そうだ、結城に相談すれば……」



さぁ、疑ってください。


ふと一つの文が頭をよぎる。

散らされたセカイのメンバーどこにいるかわからない。

もし結城もセカイだったら?

先輩もそうかもしれない。

ヒスイも、フローラ様も

ホタルさんやルイちゃん、ガーナさん、カルセさん。






誰が、味方?






「……とにかく、これを他の誰かに読まれたら大変だ。持って帰ろう」


全四巻。これを読めばセカイのメンバーが誰なのかわかってくるかもしれない。

俺が止めないといけない。


鈴蘭を救えるのは……俺だけなのかもしれない。




_________




ライトが本を両手に抱えて図書館を出ていった。外に隠れていた僕はほっと息をついて物陰から出る。


「本を読んでいたら誰か来たから驚いたよ。しかもライトだったとは」


とりあえず、持って行かれた分は読んだ本だったし、重要な分はここにあるから大丈夫か。


僕は手の中にある一冊の本を見る。

真っ黒でいかにも恐ろしい雰囲気がでているが、それは全く問題じゃない。

事実を知ること、そして生贄にされる鈴蘭を救うこと、姫とジェミニカを守ること。

そのためなら何だってやろう。鈴蘭と姫が、僕に居場所をくれた大切な人たちだから。


ポケットから一枚の手紙を取り出して読み返してみる。これは今朝匿名で僕宛に送られてきたものだ。




『ヒスイ様

 おめでとうございます。貴方は読者の一人に選ばれました。真実を知りたければ、記載された図書館へ来てください。』




「おそらく、ライトもセカイの読者として選ばれた。ライトならいい子だし、協力できそうでよかったな」


……けど、この本だけは誰にも見せれない。








「鈴蘭が記憶を失う前の話。

これを読んで幸せになる人は、誰一人いない」

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