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忘却の白と黒の記録書  作者: オトノシユ
プロローグ
1/93

白き英雄

初心者なうえに初めての作品なので、あまり上手な文章ではありませんが、一所懸命努力したいと思っています。温かく見守ってもらえると嬉しいです。




割れるような歓声に身体が震えた。圧倒されたとか、感激したとかではなく、恐怖で。



「英雄だっ! 俺達の英雄だぁっ!」



「ああぁ……革命よ! やっと、やっと平和をつかんだのよ!」



「ありがとう……ありがとうございます!! 白き英雄!!」



嬉しさに叫ぶ人、感激のあまり泣き崩れる人。地面に頭を擦りつけて感謝を述べる人ーー



全ては、私に向けられていた。



私は白き英雄と呼ばれ、革命を起こした英雄として崇められている。

周りの人々は膝をついて、私の目線よりも下にいた。数百万の人間がここにいるというのに、私の視界を遮る人は誰一人としていない。



「白き英雄よ、本当に、ありがとう!」



「やっと、腐った貴族の時代が終わったんだ……」



そう言って感無量という風に頭を低くしているのは、一般国民だけではない。国の騎士も、だ。誇り高き騎士までもが私に頭を垂れているのだ。



レンガが崩れ、石畳が破壊されている荒廃した王都で、皆が皆13歳の子供に……私に、頭を下げている。

なんて奇妙な光景であろう。

畏怖、畏敬、希望、不安。糸が絡んだようなぐちゃぐちゃの感情を宿した目が、私に一斉に集まってくる。



だけど、私は英雄と言われて良いような人間じゃない…

私は英雄になりたかった訳じゃないっ



「ありがとうございます!ありがとうございます!!」



「白き英雄!神の遣いよ!!」



だから……やめて。やめてくれ。

もう聴きたくない。

私は……私は生きたかっただけで……



「英雄!英雄!」



「我らが神!ありがとうございます!平和な国を!!」



「この国の……ジェミニカの英雄!」



やめて。やめて。違う。

向けられる感情が苦しい……









『これはお前への罰だ。国民の感情も期待も不安も、全てを無視して英雄になったお前への罰だ』






頭の中で聴こえた言葉が、ストンと何かに当てはまった。



これは罰なんだ。そうだ、罰だ。



自分のことのみを考えて自分のために他人を犠牲にした、身勝手な私への。

私は英雄を背負わなくてはならない。それが、それが贖罪なのだから。



これは、罰だ。




英雄にされた少女が過酷な運命に翻弄されてしまうお話です。

その運命は偶然か、それとも作為的なものか……?

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