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願いが叶うなら  作者: 汐野悠翔
秋物語
26/95

ホームルームでの出来事

「白羽の席は窓際の1番後ろな。周りの奴らは色々と教えてやれよ~」


そう言って、窓際の一番後ろに一つだけはみ出した空席を指し示して、場所を教えてくれる先生。

私は緊張気味にその席へと腰をおろす。

ここが今日から私の居場所。

私は、机をそっと手で撫でながら心の中で「宜しくね」と呟いた。


そんな私を余所に、朝のホームルームの進行は続いていたらしく・・・・・・



「よ~し。登校初日の今日は、突然だが抜き打ちで持ち物検査をするぞ~!」


「「「「え~~~~っっ?!」」」」



クラス中から沸き上がったどよめきに、私ははっと我に返った。



「そもそも校則で決められているんだからケータイやゲーム、漫画なんて余分なものは持って来ていないと思うが念の為にな。さぁ、机の上に鞄を出せ~」


「なんで急にそんな事を?」


「横暴だ~」



どこか面倒臭そうに、生徒たちにそう指示する担任の服部先生。

白いYシャツの上に羽織った少し丈が長めの白衣を靡かせて、教室中を回って歩く。

教室中からは、ブーイングの嵐が巻き起こっている。

状況が飲み込めずにいた私は、一人キョロキョロ周りを見回す。



すると、教室をぐるりと一周して、再び教団に戻った先生が、チラチラとこちらに視線を向けてくる。

服部先生の眼鏡越しに絡まった視線は、私に何かを訴えようとしている事に気付いた。




「っ!」


もしかして?

先生のい視線に気付いてやっと私は理解した。

先生は私の為に持ち物検査をしてくれようとしている事に。

先生の訴えに、私は慌てて首を横に振る。



「お前、何やってるんだ?あいつもさっきから何お前の方をチラチラ見て確認してるんだ?」


教室の一番後ろの開け放たれた窓。その窓枠に腰掛けて、それまで静かに見守っていた神耶君が、私と先生のやりとりに気づいたらしく、不思議そうに問い掛けてきた。



「先生に、私の病気の事は内緒にしとおいて貰うようにお願いしてるの。」



私は、神耶君にしか聴こえないくらい小さな声で、そう答える。





――昔。小学生の頃。

私の病気を気にかけてくれるあまり、クラスメイト達との間に、埋められない距離を作ってしまった事があった。

嫌がらせではなかったけれど、腫れ物にでも触るような、よそよそしいクラスメイト達の態度が、私は苦手だった。

だから・・・・・・今回、私の事を知ってる人がいないこの新しい環境では、病気の事を隠して、普通に学校生活をおくりたい。と、そう思っていたから・・・・・・。

だから私は、先生に向かって必死に首を振ってみせた。




「?で、お前の病気と持ち物検査とは、何の関係があるんだ?」


「私の胸には、ペースメーカーが入ってるの」


「ペースメーカー?」


「そう。心臓を正常に動かしてくれる機械。それが、携帯の電波の影響をうけやすいって一般的には言われてるの。だから、先生は持ち物検査してくれてるんじゃないかな?私の心臓に負担がかからないように。

・・・・・・本当は、近付けなければそれ程害はないんだけどなぁ~・・・・・・」



そう小さく呟きながら、私は苦笑いを溢す。

普通の子と同じ扱いで、全然大丈夫なんだけどなぁ。



「ふ~ん。つまりはありがた迷惑ってことか」



神耶君の遠慮のない、ストレートな言葉に私は小さく笑った。



神耶君だけ。

神耶君だけが、私を普通に扱ってくれる。

だから、一緒にいて居心地良い。





「風紀の為にな。2学期からは厳しく行くからな。覚悟しとけ~」


「そんな~・・・・・・」



教室から上がる沢山の悲鳴に、申し訳ない気持ちになる。





***





「お前ら・・・・・・まさか、白羽以外全員が余分なものを持ち込んでたとはな。携帯、ゲーム、漫画に、お菓子。化粧に、ウォークマン。それから・・・・・・何だ?これは」


「先生、アイロン知らないの?」


「それくらい知っとるわ!そうじゃなくて、何でわざわざ重たい思いをして、こんな物を持って来る必要があるんだ?!」


「だ~って~。身だしなみは大事でしょ?」


「んなもん、家でやってこい!!」


「え~。だって~」


「だって~じゃない!全くお前達ときたら・・・・・・学校に何しに来てるんだ?」


「何しにって、学校は遊び場だよ先生」


「そうそう。つか、今時持ち物検査なんて流行らないっすよ~。」


「“学びの場”だろっ!流行る流行らないの問題じゃない!少しは校則を守ろうって気持ちはないのか?」


「校則は、破る為にあるんだよ先生」


「お前ら・・・・・・あぁ~!もう良い!!と・に・か・くだ。今後は一切余分な物の持ち込みは禁止!今日の所は放課後まで預かるが、次見つけたら一週間没収だからな!いいなっ!」


「えぇ~?!そんな~教師の横暴だ~。」


「うるさいっ!!黙れクソガキ共が!!」



こうして、先生の怒鳴り声で2学期最初、1-2組の朝のホームルームは幕を閉じた。





結構前に書いた話だったので、スマホではなく、携帯表記すみません(汗)

いつの間にかスマホが主流になってしまいましたが、自分はまだまだ携帯で頑張ってます(笑)

やはり文を打つのは携帯のが打ちやいので、小説を携帯で書いている自分としては、まだまだ携帯を手放せそうにありません。そんな携帯LOVEから、あえて携帯表記のまま(笑)


ちなみに、自分が高校に通ってたいた時代、通っていた学校は、携帯持ち込みNGだったのですが、今はどうなのでしょうか?緩くなってるのかな?

色々と時代を感じる話になってしまいましたが、広い心で流してやってくださいませ(^^;)


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