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リア充もいいじゃん。  作者: 浅咲夏茶
第七章 エピローグ
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7-4 交差点

 今は朝の十時半。家に着くまで、それほど遠いわけではないが、俺の家に近いところの神社で遊んでいる子どもたちの声が聞こえた。今は春休みだからなぁ。やっぱり子どもたちも別れを遊びながら忘れているのかなぁ。「ここで一句」といきたいが、俺には詩のセンスが無い――なんて、また自虐ネタを考えながら自転車を走らせる。


 子どもたちのはしゃぐ声がここまで聞こえるとなると、うるさいで怒りたくもなるが、こういうのが今の日本人を生み出しているんだろうな。もう少しうるさくても許容出来る、そんな人間になりたいなあ、なんて俺は思った。そしてそれを思うことでくすっと笑うことが出来た。キモいと思われるかもしれないが、笑ってはいけない訳では無いはずだ。


 信号機が赤に変わる。俺の後ろには女性のある。その女性が誰か、俺はまだ知らなかった。けれど、何故かその女性は俺の知っている誰かだということが脳内に刻まれているのが俺はわかった。すぐに分かったのだ。何故すぐに分かったのか、分かるわけ無い。でも何処かでこの女性と会った、それだけは分かったのだ。


 信号が青に変わる。車は動いた。俺の後ろにいた女性も、俺が走りだしてすぐに自転車をこぎ出す。そして、少し進んだ所で、俺は後ろにいた女性に追い越された。が、俺は何故か負けじと猛スピードでこいでいた。まるでガキみたいだった。やっぱり、今の俺には何処か小学生らしさが残っているのだと、俺は悟った。


 だが、猛スピードで行ったことにより、俺は女性と自転車衝突してしまった。


「お、おわ……っ!」

「きゃ、きゃああっ!」


 俺も女性もラッキースケベ的な展開にはならなかった。むしろ、小さな衝突というだけで、損害賠償もないような感じだった。まあ、向こうが言い始めればこっちはしかたなく応じなければいけないが、今は別にいいだろう。まだ何も言っていないし。これ程度なら、そんな問われるようなこともないだろうし。


「……大丈夫、ですか?」

「……ええ。別にそれといったことはなかったけれど、まあ大丈夫です」

「ならいいのですが……怪我とかは……」

「ありませんよ。優しいお方なんですね、貴方」

「それほどでもないと思いますけどね……自分で言うのもなんですが」

「あはは」


 一応、俺は女性と会話をやめ、家に帰ろうとしたが、何故か何時もより早く、腹がすいてきたので、俺はこの辺にある洋食店等の食品店を聞こうとした。四年間もいないと、少し景色も変わっているかもしれないしな。やっぱり確認しておくべきであろう。


「で、この近くでとっても美味しい料理屋ってありますかね?」

「ああ、『洋食店の神上』っていうとても美味しい洋食店がありますよ。一応、私が経営者なんですがね。……良ければ食べていきますか?」

「事故も起こしたので、お釣りは返さなくてもいいんで、是非食べさせて下さい!」

「わかりました。じゃ、私についてきて下さい」


 そう言われ、俺はその女性についていくことにした。


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