7-3 ホームセンターでの出会い
木材を持ち運びながらレジへ向かう。それさえも、今の俺には苦痛だった。今すぐにでも、タイムマシンで美玲に俺の部屋が破壊される寸前まで戻り、そしてそこで俺は起きて妹から被害を受けないように対策をとる。ほら、いい案だ。
「―――けど、タイムマシンなんかこの世に存在しないよな」
その時、俺の脳内に何かが映った。なんだろうか。興味が湧いてくる。だが、それはすぐに途絶えた。興味が薄れたのだ。
何があったか正確に言うということは困難かもしれないが、一応俺が今感じたことを直球に述べるのならば、今俺はなにか脳内にタイムマシンが見えた。四角いものだ。何故こんな風景が脳内に浮かんだのかはわからない。もしかしたら、厨二系統のアニメ、まさか未来と過去がリンクする話の見過ぎなのかもわからない。
「……何なんだろうか、一体」
そうして俺は木材をレジで精算していた。ふと俺が店員の顔を見ると、何処からどう見てもそれは美玲の姿だった。
「なんで兄貴がここに……仕事中なんだから来るなよ!」
「お前が俺の部屋のドア壊すから修理しようとホームセンターまで来たってのに、お前ってやつは……。まあいい。早く精算済ませろ」
「……てかさ、家にまだ材料あるんだよ? 買っちゃうの?」
「買うわ。他の客の迷惑になるし、はやくしろ。てか、お前がしなければこんなことしなくてもいいんだぞ? 俺だってカネを使わなくて済むんだし。いいじゃないか」
「はぁ……。――お客様、六二〇円のお買い上げです」
俺は指定された金額に四〇〇円を追加して払う。つまり一〇二〇円。お釣りは四〇〇円だ。生憎、五〇〇円玉がなかったので、俺は一〇〇〇円を使ってしまった。野口さんが散ったわけである。意味合い的には。
「四〇〇円のお返しです、ありがとうございました。次の方……」
俺は精算を済ませ、木材を縛ってもらい、自分の肩に背負って店を後にしようとする。まあ、レジで美玲と会ったわけだが、その美玲は俺が何時も顔をあわせている美玲とはなにか違う美玲だった。なんだかギャップが強いような気もする。
「さ、帰るか」
そう言って、俺は家まで帰路につこうと、自転車に乗る。そして、店で木材を縛ってもらった紐を上手く活用し、自転車の籠に上手く縛り付けた。




