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リア充もいいじゃん。  作者: 浅咲夏茶
第五章 無差別殺人事件、地震、そして――
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5-4 病院

 ピーピーピーピーピーピー、という音が鳴る。この音が俺は嫌いだ。目を覚ますと、俺は病院のベッドにいた。右のほうを向くと、玲香の姿があった。玲香は肘の少し上を切られたらしく、手当てをしていた。左のほうを向くと、そっちには後峠の姿があった。


「ご、ご、後峠! 一体何が有ったんだ?」

「お前が倒れた後、玲香がそれを助けに行って、救出してくれたんだ、お前を。玲香も幸い命に別条はない用だ。俺はこれから一回洋食店の地下室の方に戻ってるから、携帯借りるわ。んじゃまた。ハッ!」


 厨二病が治ったのかと途中で思ったが、そんなことはないようだ。目をつぶり、左手を前に出して「ハッ」といったこともあった。だから俺は呆れた。


「あれ、美玲は何処に……」

「帰るってさ、学生寮に」

「早いな。もう少し居てくれたって良かったのに。……て、玲香」

「何、ろくのん?」

「いや、何でもない。ちょっとさ、『居たのか!』みたいな感じだったから」

「へぇ。今徒歩で新潟空港に向かってるってさ」

「そうか」


 俺はそう言うと目を閉じて、深呼吸をした。


「ていうか、ろくのん大丈夫なの? そんなに怪我しているのに」

「怪我? ああ、刺された傷か。幸いそこまで響いてこねえよ」

「そっか。良かったね。私もそんなに痛くなくてよかった」


 普通の人間なら「痛い」だとか言うはずの痛さなのだが、俺も玲香もその痛さ以下の痛みだった。玲香は凄い笑顔を見せているし、痛み自体感じないんだろう。


 時刻は三時三〇分。結構この病院までに来る間に寝ていたようだ。


 それからすぐ、看護師さんが俺と玲香を退院させてくれた。凄く早いが、「症状が悪化せず、きちんと動けているから」らしい。普通なら入院するはずなのだが、俺と玲香の場合は違った。先の万代シテイでの事件で相当な数の患者さんを見ているだけあり、経過の良い患者は送り出そうという考えなのだろう。


 俺と玲香は治療費を払い、病院から出て少ししてバスに乗って洋食店まで向かった。


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