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リア充もいいじゃん。  作者: 浅咲夏茶
第三章 遊園地デート
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3-8 ショッピングセンター-Ⅱ

 ラーメンを注文した後、ラーメンが来るのを俺達は待っていた。俺も玲香も顔を赤く染め上げて。俺は玲香ほどではないが、少々薄ピンク色になっていた。玲香は顔がすごく真っ赤で、例えるならそう、『天使』だ。


「お待たせしました。恋愛祈願ラーメンでございます。それではごゆっくりどうぞ」


 店員は、そう言ってラーメンの入った器を置いた後その場を去っていった。


「な、なあ玲香」

「な、なんだね、ろくのん?」

「食うぞ。『あーん』してやろうか?」

「……お願い……します」


 玲香は顔を真っ赤に染めた。さっき以上に。ここまで恥ずかしい気持ちか高まってくると、俺自身も顔を真っ赤にしそうで危ない。……だが、それは一応本能なんだろうな。


 勝手にいいようにまとめた後、俺は心を落ち着かせ、少し冷静さを取り戻しつつ、ラーメンの入った器の中のれんげを取り出し、そこにラーメンのスープをすくって入れた。


「あ、あーん……」

「は、はい……」


 もぐもぐ……。顔を赤らめながらラーメンを食べる姿を見て、俺は鼻血を吹き出しそうになった。だって可愛いんだもん。俺がこんなこと思っちゃいけないのかもしれないし、今後玲香の元で洋食店員として働くのが困難になるかもしれない。でも、それぐらい、危険なことを犯してしまいそうなくらい可愛いんだ。


「……えへへ。ありがとね。今度はろくのんがされる側だよ……?」

「なっ……」


 そうして俺と玲香は「あーん」を十回程度した。そうして回数を重ねていくうちに、最初の方にあったあの「恥ずかしさ」はどこかに消えていた。


「平らげるの早すぎだろ! まだ十五分しか経ってねえぞ!」


 玲香がラーメンの器の中に入っているスープや麺が何一つない状況を見て俺に言った。俺からしてみれば、「十五分も経ったのか」と言い返したいところだが、言わないでおこう。と、時計を見て十五分が経過したという事実を知った上で俺は思った。


「あのさ、玲香」


 器を片づけ、ラーメンの料金を払った所で俺は玲香に言った。


「うんと……何かな?」

「一つ思ったんだが、玲香って結構キャラクター性がコロコロ変わるというか、決まってないよね。敬語を使う『クール系』を演出したり、敬語は使わず、『~だ!』みたいに、男っぽい口調でしゃべるときとかさ、もう口説きに来てると勘違いしそうなくらい女っぽい口調で喋るときとか……」

「こういう人間は嫌い……だよね?」

 

 玲香は俯いた表情で俺の肩に手をのせて、俺の耳元に顔を近づけ、そう言った。


「き、嫌いだなんて一言も言っていないだろ!」


 俺は玲香のその声を聞いて、そう言った。俺はむしろキャラクター性が決まっていないほうがいいんだと思う。俺の妹による影響かは定かではないが、もしかしたら、あの妹がいたからこそ俺はこうやって、少し世話が焼ける人でも会話ができているのかもしれない。


 でも、そんなことを言ったら「なんで今まで俺が非リア充だったのか」という疑問が湧いてくる。


 まず最初に、「非リア充とリア充の違い」という定義があまり決まっていないので、俺の考えを当てはめることにする。


 リア充は「彼女、彼氏がいる、つまり恋人がいる」もしくは、「女友達がいる」、「男友達がいる」のようなそういった関係を指していると俺は思う。


 対して非リア充は「友達がいない」、「彼氏彼女は当然いない」ということが条件だ。俺のように妹は居てもいなくてもいいものだと考える。


 だから、俺の定義では「俺は非リア充」ということになる。厨二病全開だったあの頃、もう少し青春を謳歌するべきだったのだと今、改めて思った。それを思う度、あの頃の自分を消し去りたくなるのである。それが俺の青春時代なのだから。


 ふとそんなどうでもいいようなことを脳内で考えていると、俺の肩を掴み、ゆさゆさと俺を前後に玲香が振って、泣き叫んでいた。


「嘘だッ! どうせ、どうせ……」


 俺は脳内に何かが走るのを感じた。これはまさか、異様な脳による信号……なわけ無いか。でも、俺はその脳の司令のようなものを実行した。


「ここじゃ危ないからこっちへ来い」


 俺は、玲香を強引にこのショッピングセンター街から連れだした。


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