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リア充もいいじゃん。  作者: 浅咲夏茶
第二章 形成されゆく恋愛感情
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2-8 妹に下着を借りる兄

 午後九時五〇分頃。俺は、部屋から風呂場へ玲香を連れて行き、


「風呂場だ」

「うん」

「何か困ったことがあったら言ってくれ。俺はリビングで読書でもしているから」

「読書といってもライトノベルを読む簡単なお仕事でしょうけどね」

「何故分かったし。なんて言っても、どうにもならないよね」

「まあね。大体ああいう趣味の人はラノベを読む人だから」

「決め付けないであげてね? 俺も一応一般文学賞説も読むんだし」

「そ。じゃ、私風呂入ってくるね」


 そういうと、玲香は更衣室と言う名の風呂場へと向かい、着替え始めた。といっても、これはあくまで俺の想像でしかないし、一般的に何をするのかを語っているだけだ。


 俺はスマートフォンで読書を始めた。と言っても、もうスマートフォンのバッテリー残量は大変なことになっていた。だから結局俺は読書するのをやめた。そして、ソファに寝っ転がりながった。


「つーかーれーたーっ!」


 男がこんな言葉を使うと『気持ち悪い』と感じられるかもしれないが、俺だって疲れたんだ。ちょっとくらい言わせててもらってもいいよね。


「おーい、英人? 私、着替えがなかった気がしたんだけど……」

「……あ」


 とはいえ、俺が下着を用意する訳にはいかない。なにせ男ですから。女性用下着を着用するような変態ではありませんから。そういう面も踏まえ、俺は美玲に頼むことにした。


「おい、妹よ」

「何、兄貴?」

「下着をくれ」

「神様、神様、私の兄貴の脳内を戻してやってください! このままじゃ兄が犯罪者になっちゃうんです! どうか、どうかお力を……」

「だから下着を……」

「死ね。二回死ね。三回死ね。それ以上死ね。マジ気持ち悪いんだけど。妹に対してまでそうやって攻略しようとするとか、さすがド変態の性欲大魔神ですこと。ああ気持ち悪い、気持ち悪い」

「ち、違うんだ。事情を聞いてくれ!」

「誰がこんなド変態の話を聞くもんですか、ええ?」

「違うんだ! その、玲香が下着を忘れたらしくって、『服とかは全部お前に貸してもらえばいいんじゃないかなぁ?』って思って来ただけだ!」

「な、なら最初からそう言ええええ! 誤解を招くような発言すんじゃないわよ!」

「す、すまない」

 少しすると、俺は美玲から下着とパジャマを渡された。なんとなく温かい気がする。いやいや、何考えているんだ俺は。ダメでしょ、そんなこと考えちゃ。

「ほら、早く行けや! 兄貴の彼女さんが待ってるんだから」

「だから玲香は彼女なんかじゃないと言っているのだが……」

「いいから行け!」

「おわっ!」


 俺は強制的に部屋から追い出された。が、なんだかんだ言って結構玲香が俺に言ってから時間が経っているな。やはり早くいったほうがいいか。


 そうして風呂場に駆けつけた俺は、玲香にこう告げる。


「ここに下着とパジャマ置いとくぞ」

「どこに?」

「お前の脱いだ下着とかが置いてあるところの上だ」

「わ、わかった」


 俺は、玲香の承諾を得ると直ぐにその場を去った。エロゲ、ギャルゲ、ラノベ等でよく見られるああいったラッキースケベ展開にする訳にはいかないからだ。ま、俺はそういうことを大量にして、最終的に二股かけたりして刺されたら嫌ですからね。


「あの、ちょっと……」

「一体何だ?」


 俺は、玲香の声が聞こえたので、何の気遣いもなく風呂場という名の更衣室の戸を開けた。だが、風呂場と言う名の更衣室には、素っ裸の玲香の姿があった。


「……なっ!」


 これはさすがに鼻血を出してしまうレベルだ。凶悪すぎる。


「いいから今直ぐ後ろ向けっ!」

「ごめ……っ!」

「いいよ別に。だってろくのんはそういう風に、何かのために一生懸命生きる人だもんね」


 何を何でもかんでもわかっているような口を聞いて。と言っても、なんでもわかっているわけではないとは思うが、強ち玲香の言っていることが間違っているわけではないし、「一生懸命だからね」と言われて特に傷つくわけでもないし。


「で、その、ブラのサイズが小さいんだけど……」

「だってそれ、貧乳の妹のだもん。ああいうドS系の女は貧乳っていうのが、アニメや小説、ゲーム的にはキャラが多いですから」

「兄貴? 今、私になんて言った? 貧乳とか言っていなかったけ? あん?」

「違う! 断じて違うぞ! 俺は美玲が貧乳で、そしてドSだなんて、一度も思ったことはないんだ! ああ、今でさえ思っている……ないからな!」

「言い直したよね……?」

「いや、俺はお前にそんなことを言った覚えが……ある」

「死ねえええええええええええええええええつ!」

「ぐはっ!」

「死ね、死ね!」

「痛い、痛いっつの! やめてくれ、美玲!」

「バカ、バカ、うるせえ、死ね、黙れ!」

「なんて罵声だ……おわっ!」


 俺は、腹に強烈なチョップを相当な数入れられた。おいおい、本日二回目だぞ。さすがにこれでは腹を痛めてしまうではないか。しかも玲香の力より強いし……。さすが俺の妹という感じもするが。


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