2-6 パーティーの後はマイホーム
妹と後峠によるやり取りが終わった時、鍋の中は、最初の頃の三分の二ぐらい減っていた。それに気付いた妹が俺の方を指で指して怒った。
「なんで半分以上二人で食べちゃうのさ!」
「ごめん……」
「いいよ! で、兄貴と志熊さんの関係はどうなんだ?」
妹よ、それは禁句だ。少しは察してくれ。俺と志熊はスープをただただ飲んでいただけで、それ以外の何もしていなかった。「何も」というのは不適切だが、ただお互いに照れまくって何も出来なかったわけである。
俺は無言のままいた。
「なにか喋ろ!」
「あ」
なんと子供じみた回答なんだろうか。「なにか喋ろ」と言われたから「あ」と返す。これぞまさしく、マイクテストに最適だな。日常生活で使われたら子供じみているが。
「そういうことじゃないッ! もういいよ! 兄貴、志熊さん連れてきて。帰るから」
「だが妹よ、志熊はそんなこと望んでいるわけではないんじゃ……」
「英人君は、私に気を使い過ぎなんだよ。大丈夫。私はそんなことで心に傷とか負うわけじゃないし。大丈夫だよ。英人の家に行けばいいんだね?」
「おお、やっぱり兄貴の彼女さんの理解力は桁外れだ!」
「れ、玲香は彼女という訳じゃ……」
「ほら。下の名で呼んでるってことは、イコール彼氏彼女の関係ということじゃん」
ぐ……ぐぬぬ。言い返せない。なんだかんだ正論だ。確かに、リア充は下の名前で読んでいるしな。もっと上を行けば、ニックネームで読んでいる奴らもいる。いや、それは格下なのかな?
俺は妹と志熊じゃなくて……玲香とともに、自宅へ戻ることになった。




