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異世界英雄式のつまらない解き方  作者: 四四 カナノ
第一件 異世界からの訪問者
7/71

7 事件+生徒会室

 今朝は、光とセリアが昨日よりも打ち解けていたり(一方的にからかわれていたように見える)、光のテンションがいつもと違ったり(からかわれた結果だと思う)、裕也が満足げな顔でセリアに情報を渡していたり(十分な成果があったのだろう)と、いつもと調子の異なる朝だった。

 別にそれぐらいのことならば日常の範囲内だ。しかしその調子が、学校についてからもいつもと異なっていた。その理由が、文化祭だからではない。文化祭の雰囲気は、準備段階からあった。もうすでに日常の中にある。昨日も昨日なりに盛り上がっていた。

 それなのに今日は、盛り上がっていなかった。

 人がいないわけではない。昨日は学校に泊まった生徒もいたはずだった。まだ開場まで時間があるが、多くの生徒が外に出ている。ただその動きに妙な緊張感がある。

「何だ?」

 裕也が、西校舎に視線を向けて呟いた。

 僕も視線を西校舎に向けた。そこには、生徒が集まり、人だかりができていた。

 西校舎とグラウンドの間に、車が並んで通れるだけの広さを持った舗装道路がある。そこには今、文化祭の出し物の看板が並べられている。人だかりは、その一角にあった。

 裕也は、悠然と人だかりへ歩いていく。僕と光もそれに続いた。

 人だかりは、それほど大きくはない。少し見たら離れて行く生徒も多い。文化祭の準備をするためだろう。同時に、残っている生徒もそれなりに多いが。

 人だかりの中心にあったのは、木だった。舗装道路の隣に並べて植えられているうちの一本だ。ただ、その木の幹の根元付近に青いビニールシートが巻かれている。それを見た限りでは、何の興味もわかないだろう。

 周囲を見回してみると、注目を浴びているのはそれだけではないらしい。看板の並べられている列に空白がある。ちょうど、二枚分ぐらいだ。隙間なく並べられている列に対して、その空白は目立つ。看板を掛けるために設置された支柱がむき出しになっている。その支柱の上側が、変形していた。

「……」

 変形と呼ぶには語弊があるか。変形というよりもこれは、溶けたと言ったほうがいいかもしれない。

 いくつもの看板を並べるために上下に一本ずつ、支柱が横に伸びているのだが、そのうちの上側の支柱の一部が消えていた。支柱の消え始めと終わりの端が、波打ったり、下に伸びたりして、原形を留めていなかった。

「これは?」

 光が首を傾げたが、それに答えられるわけもない。

「俺は、ちょっと寄る所に寄ってから教室に行くから、二人は先に行ってくれ」

 そう言った裕也は、こちらの返事を待たずに道路を歩いていく。

「……行こうか」

「うん」

 僕と光は並んで東校舎へ向かって歩き出した。

 人だかりから少し離れた所で、光が口を開く。

「あれ、何だろうね」

「さあ」

 火事とは違うだろう。金属が溶けるほどの火力となると、あの程度の被害で済むわけがない。被害が、あまりにも狭すぎる。専用の器具を使えばどうにかなるだろうが、そんな器具を準備してまでやることだとは思わない。

 何か薬品を使えばできるかもしれないが、それもどうかと思う。地面にはこれといった変化はなかったし、それをやる理由が思いつかない。

「とりあえずは、文化祭に影響なさそうだけど」

 学校側の対応が何もないことからそうだと思う。生徒の知らないところでは何か対応しているかもしれないが、生徒に知られないようにしているのだから、大事にするつもりはないのだろう。

「う〜ん」

 光は、うなるような声をあげた。その表情を横目で見ると、沈んでいるように見える。

「やっぱり、まだ乗り気じゃない?」

「それは、まあね」

 クラスの出し物、コスプレメイドの洋食屋に光は反対していた。かなり最後まで反対側にいたと思う。いざやるとなっても、納得できない部分があるのかもしれない。

 それと光自身は、メイド服が似合わないと思っている。光はかわいらしい服が似合わないと思っていて、普段から女の子らしい服は着ていない。クールというか、中性的な服を好んで選んでいる。だから、反対していた面があるのかもしれない。体形も女らしいとは言い難い。いや、これについては言及しない。これについてあまり考えると平手打ちを食らう。長く伸ばしている髪は、とてもきれいなのだが。

 僕は、思考を止めるために、励ますつもりで口を開いた。

「お祭りの中でのことだし、二日だけだから」

「まあね」

 光の声にやる気は感じられない。

「客商売だから、大変だろうけど」

「そうね」

「前評判はかなり良いそうだし、やりがいはあるんじゃないかな?」

「かもね」

「……」

 僕は、何を言えばいいのだろう?

「男子は、ちゃんと来るのかな?」

 光は、心配というよりも疑わしげな表情を浮かべている。

「来るみたいだけど」

 女子に従い続けていた男子は、文化祭期間中も引き続き従属する身である。

 しかし、近くにいなければ命令されることは少なくなる。完全になくなるわけではないが、場所が特定されていなければまずないだろう。文化祭中の出席は、基本的に自由でもある。だから、来ないことも考えられるが、初日の今日にそれはないはずだ。

 なぜならば、今日が女子のメイド姿のお披露目される日だから。

 イメージやデザインは知らされているが、男子に実物はまだ披露されていないのである。女子によって、秘密裏に製作されていた。昨日、僕が見たのはフライングだったわけだ。

 従い続けていた男子にとって、唯一の褒美でもある女子のメイド姿を拝まないことはありえないだろう。実際に昨日は、その話で盛り上がったりした。

「浩一は、どう思ってるの?」

「何が?」

 聞き返す僕に光は、やや逡巡してから答えた。

「……メイド、みたいなの」

 昨日、裕也からも似たような質問をされたが、聞きたいことは裕也とは違うのだろう。強いてあげるならば、昨日が裕也から見たコスプレメイドの洋食屋だとすれば、今日は光から見たコスプレメイドの洋食屋についての質問だと思う。店側からの視点か、客側からの視点か、といったところだ。

「……別にいいけど」

「別にって?」

「光がメイドをやること」

「何がいいの?」

「変じゃなかったし」

「変じゃなかったって?」

 質問攻めの光の顔をちょっとのぞいてみる。こちらをじっと見つめる瞳は、まっすぐだ。どんな答えを返すべきか少し迷う。

 とりあえず、昨日思ったことを口にしてみる。

「似合ってたし」

 光の質問攻めが、一瞬止まった。

「……ほんとに?」

「でも、僕の感覚は普通じゃないから、あまり参考にならないでしょ」

 僕の感覚は普通の基準と違う。美的感覚から価値観、味覚、痛覚までいろいろと違う。人が疑問に思うことや嫌がることもたいてい受け入れられる。そのことを自覚するまで時間がかかったが、それまでもたいていの事を受け入れていたから何も問題はなかった。

「わかってる。けど、別にいいの」

「なぜ?」

「浩一に聞いているんだから、それでいいの」

「そうなの?」

「そうなの」

「……分かった」

 とりあえず、深く考えることでもないと思ってそう答えた。

「そう。じゃ、さっさと行こう」

 並んで歩いていた光が、僕より半歩前を歩きだした。さっきまで沈んでいたと思ったらば、軽やかな足取りだった。もう、気持ちの切り替えが済んだらしい。

 そのまま僕は、気分の良さそうに先を歩く光の後に付き従った。


 ◇


 三階の教室につくと、クラスで簡単に出欠を取った。学校で出席が自由だとしても、出し物をするクラスとしては出欠を取らなければならない。

 クラスでは、出席をおろそかにすると、打ち上げの参加資格を失うという決まりになっている。積極的に参加をさせるための餌である。

 出欠を取るのは前日の準備日も含めて三日間。一日に朝と夕の二回、合計六回。打ち上げに参加するには、そのうち四回以上の出席が必要だ。昨日の準備日でたいていの者は半分をクリアしている。

 裕也は、その朝の出欠までに現れなかった。打ち上げには出ると口外していたから、気にはしているだろう。しかし、僕の前に現れた裕也は、間に合わなかったことを悔やむことはしなかった。

「暇ならちょっと手伝ってくれ」

 僕の目の前に現れてから、早々に裕也は言った。

 そう言って連れて来られたのは、生徒会室だった。裕也に従う理由はないのだが、同様に拒む理由もない。別に悪いようにはされないだろう。

 生徒会室は、中央校舎の四階にある。中央校舎はほかの校舎とつくりが少し違い、四階は両開きの扉が等間隔で並んでいる。会議室などがあり、その階を生徒会が丸ごと管理している。生徒会に申請すれば、部屋を使用することもできる。

 裕也が、生徒会室と書かれたプレートの掛かった扉を丁寧にノックした。

「失礼します」

 中から返事のする前に扉を開ける。

 扉を開けた先には殺風景な部屋があった。部屋の中央に三人がけの机をくっつけて大きなテーブルとし、その上に書類が積まれている。その積まれ方は、乱雑ではなく整然としており、作業の途中だと思われる。そのテーブルの周囲の壁際にロッカーや整理棚が配置されている。

 扉の近くに仕切りで区切られた場所があり、足の低いテーブルとそれを挟んで二人がけのソファーが並んでいる。おそらく、応接用だろう。

「どちらさんだ?」

 部屋の中央、テーブルの奥から声がした。

 声をかけた人物は、眼鏡をかけた男子生徒。利発そうな顔立ちをしている。部屋の中にはほかに生徒はおらず、一人で作業中だったようだ。

「情報屋の高戸裕也っす」

 裕也は、笑顔で言った。

 念のために言っておくと「情報屋」というのは、自分でそう言っているだけだ。いろいろなことを調べるのが一種の趣味と化しているので、そういう役柄が違和感なく当てはまっている。これが学校内でかなり広まっていて、裕也に情報を求めに来る生徒が多数存在している。今では、自他共に認める役柄となっている。

 裕也の存在を認めた男子生徒は、眼鏡の奥の視線を強くした。警戒しているらしい。

「……一年C組の武野浩一です」

 僕は、学年と組、名前を告げるだけにとどめた。もっとわかりやすい称号があるが、それは言わない。

 男子生徒の僕への反応は、いま一つ確認できなかった。生徒会は、認定試験合格者の事を把握しているから全く知らないはずはないと思うが。

 生徒会は、認定試験合格者を伝統的に快く思っていない。学校内で好き勝手されるわけだからあまり良い感情は持てないだろう。そういう関係から僕は生徒会から目を付けられている。

 男子生徒は立ち上がり、こちらに近づいた。

「武野君とは、初対面だな。三年E組の平野正道、生徒会副会長をやらせてもらっている。そんな所に立っていないで、そちらに座りなさい」

 正道は、軽く手を出してソファーを示した。

「どうも」

 裕也は、軽く頭を下げてソファーに座った。僕もそれに倣った。

 正道は、僕たちの向かい側に座る。

「それで今日は、何のようだ。会長ならグラウンドの文化祭実行委員本部テントだが?」

 正道は、裕也の顔をにらむようにして言った。

 裕也は、それを意に介さずに口を開く。

「会長に用はないです。ここにはちょっとしたお願いをしに来ました」

「断る。そして、帰れ」

 正道は、裕也の話の内容を聞かずに話を打ち切った。速決だった。

「まずは、話だけでも聞いてくれませんか?」

「断る。お前の願いをかなえる余裕はない」

「そこを何とか」

「断る。お前の話が有意義だったことはない」

「けちっすね」

「構わん。それで済むなら安い批判だ」

 二人だけの、意味があるのか無いのか分からない会話が続いている。

 二人は初対面ではないようだが、裕也はかなり煙たがれている。情報屋という非公認の活動を学校内で行っているのだから当然かもしれない。

「そんなんで事件を解決できるんすか?」

 裕也の口から無視できない単語が出てきた。

「心配する必要はない。穏便に済ませる」

「いくつの事件が起こってるんすか?」

「答える義務はない」

「答えなくていいっすよ。勝手に話しますから」

 裕也はそう言って、ちらりと僕を見た。

「今日の深夜から明け方にかけて、学内で異変が起こりました。西校舎の近くで火の玉のような光がグラウンドに向かって放たれた。それを発見した教師や警備員がすぐに駆けつけたみたいですが、そこには誰の姿もなく、穴の空いた看板と木の幹があるだけだった。しかし、その穴の空いた看板と幹は焦げた臭いを発していたため、水をかけて消火した」

 今朝の西校舎に人だかりのあった場所のことだろう。青いビニールシートで隠された下には幹に穴が空いていたわけだ。

「火の玉騒ぎで出てきた警備員は、そのまま学内のパトロールに回りました。そこで、あるべき物がないことに気づいた。体育館前に置かれていたモニュメントと裏庭の端に置かれていた大理石の大岩が消えていた。昼間はあったことが確認されていますし、運び出す予定はなかった。忽然と消えていました」

 体育館は西校舎を挟んだグラウンドから見て反対側、裏庭は中央校舎の裏側にある。それぞれに置かれていたモニュメントと大岩は、かなりの大きさだった。人が運べるような大きさではない。重機を使う必要のある大きさだ。裕也の口ぶりだと、重機が持ち込まれた形跡はなさそうだ。

「それから日が昇って、泊まっていた生徒たちが起き始めました。変化があったのは、東校舎の一階、飲食系の出し物をする教室。インスタントの乾麺が消えていました。ただ、不思議なことになくなったのは乾麺のみで、カップ麺のカップや袋などは残されていた。さらに、なくなった量は一教室ごとに一食分だけでした」

 それに関しては、首を傾げるしかない。麺だけが消えて、ほかは残っている。仮に盗難だとしても、麺だけがあっても意味があるとは思えない。それも各教室を回っているようだ。そんなことをしなくても一か所で量を集めることはできるだろう。

「以上、こんなんでいいっすか?」

 正道は微動だにせず、裕也の話が終わるまでじっとソファーに体を預けていた。

「終わったなら帰れ」

「まだ終わってないっすよ。話をするだけなら、タケを連れて来る意味がないですし」

 ここで正道が、上体を前にかがめて顔を近づけた。

「確認したい。そちらは、『あの』武野浩一で間違いないのか?」

 裕也も正道と同じように上体をかがめた。

「はい、『あの』武野浩一、その人っす」

「裕也、ちょっといいか?」

 そう問わずにいられなかった。

「『あの』っていうのは、僕が聞きたくない類の表現なのか?」

 二人が、言葉を濁しているのがどうしても気になる。しかし、わざわざ濁しているものを直接聞いていいものなのか、少し迷った。

 裕也が、姿勢をソファーの上に戻した。

「別にタケは気にしないだろうが、あまり口にしないほうが良いことではある」

「そうか」

 それで大体を理解した。納得することにした。普通に生活するには要らない称号ということだ。いつの間にか増えているらしい。

「疑問がある。武野君は、なぜ生徒会室に来た?」

「……裕也に連れて来られました」

 素直に言った。そう言うしかなかった。

「……」

 当然のごとく、正道の視線が裕也に向き、目じりが鋭くなる。

「で、お願いなんすが、この事件を任せてもらえませんか?」

「断る。生徒個人に任せられることではない」

「認定試験合格者に任せてくれませんか?」

 ここで裕也は、道乃森高校に通う生徒の最大権利を主張した。

「……」

 これにはさすがの正道も即答できなかった。

 道乃森高校では生徒会長が、生徒の最高権力を持っている。しかし、どうしても学校に縛られる形になる。それに比べて認定試験合格者は、学校の後ろ盾を得たのと同じ状態だ。権力はなくても、権利は最大なのである。

「裕也、何を考えてるの?」

 裕也の横顔を見た。

 僕は、こんなやり方は認めない。たとえ認められていることだとしても、僕自身が認めない。他人を押しのけたり、踏みつけたり、従わせたりするような能力の使い方は、絶対にしない。力で服従させるようなことは嫌だ。だから、必要以上にこの権利を使うことを拒んでいる。

 そのことは裕也も知っているはずだ。

「セリアの関係だ」

 裕也は、それだけ言って口を閉じた。

 その言葉に少し驚いたが、裕也の顔は真剣だった。ならば、ある程度の確信があるのだろう。これは少し、本気でやるべき状況かもしれない。

「……副会長」

 僕は、正道をまっすぐに見た。

「条件付で構いません、この件にかかわることを認めてください」

「いきなり何だ?」

 正道の眉が、わずかに動いた。

「この件を放っておくことのできない事情があります」

「ならば、それを話せ。認めるかどうかはその後になる」

「それはできません」

「なぜだ?」

「話せば余計な混乱を招くからです」

「……」

 正道は、背もたれに体を預け、腕を組んで唇を引き結んだ。厳しい表情の中にある目は、僕と裕也に向いている。

 裕也は、先ほどから動いていない。

 僕は、ただまっすぐに正道を見る。

 正道の視線が、それることはない。

「……やはり、認められんな」

 正道の声は重かった。

「どれにかかわるとしても、二人だけで対応させるわけにはいかない」

 正道は立場からいろいろと考えて結論を導き出したらしい。

 しかし、こちらも引き下がれない。事件のカラクリの一部が見えている身としては、これが普通の出来事でないことを理解している。別に生徒会の許しを得なければならないことではないので無視してもいいのだが、それは無用な衝突を生む。そんな事態は、望まない。

「副会長、まさか生徒が犯人だと思っていませんよね?」

「何?」

 僕は、少し突っ込んで話をすることにした。

「乾麺の件はともかく、ほかの二つはまず無理です。外部の線が強いでしょう。しかし、それは警備員や教師、生徒に目撃されている可能性があります。その目撃証言が出て来ていますか?」

「……」

 正道は、何も答えない。それにかまわず話を続ける。

「モニュメントや大岩の消失には大掛かりな準備が必要でしょう。文化祭のために生徒が泊まっているから警備員の目も厳しいはず。それなのに目撃されていないのは不自然です。そうなると、外部の線がなくなる。しかし、生徒に実行するのは難しい」

「……」

 裕也は、何も言わずに静観している。

「さらに言うと、すべての件において、それが行われた方法が判明していますか?」

「……」

 正道が僕の問いに答える気配はない。口を挟まず、続きを促している。

「不思議ですよね。どうやって行われたのか分からない。火の玉の件、モニュメントなどの消失、乾麺のみの持ち去り。方法だけでなく、理由も疑わしい」

「何が言いたい?」

 正道の眉が、不審気に寄せられている。

「そういう不思議の専門家に知り合いがいるんです。この件、話すことになると思いますので先にお知らせしておきます」

 僕は、ソファーから立ち上がった。もうこれ以上は話す必要はないはずだ。一方的ではあるが、さっさと話を切り上げさせてもらう。

「お忙しいところ無理を言って申し訳ありませんでした。これで失礼させてもらいます」

 僕は、さっさと扉を開けて退出した。

「失礼しまっす」

 裕也も僕の後に続いた。

 最後、正道は何か言いたそうな顔をしていたが、何も口にはしなかった。


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