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91 狒狒丸が起きました
-side 狒狒丸 -
目を開けると心配そうな親父とお袋の顔が見えた。兄貴は流石に部屋で寝かされているのだろう。ずっと付いてくれていたからな。
「狒狒丸、父さんと母さんが分かるか?」
親父が心配そうに覗き込んできた。
ああ、ゴメン、親父。前世の記憶が勝ってしまったよ。親父もお袋も俺をあんなに一生懸命育ててくれていたのに・・・前の俺の記憶がベースとなってしまったため俺の意識では親父とお袋は前世の父母だ。
どうしても、今の父母に対して親という意識が出来ない。養父母がこういった感じになるのだろうか?好きだという感情は変わらないが、どうしても一歩引いてしまう。
「あぁ、ありがとうございます。」
その言葉を聞いて解ったのだろう、親父は哀しそうな顔をする。
お袋がそんな親父と俺をギュッと抱きかかえて言った。
「なあ、前世の記憶があったからいうて、あんたはうちがお腹を痛めて産んだ子には変わらんのや。まあ、直ぐには無理やろけどな・・・時間はたっぷりあるんや、ゆっくり親子関係を築いていったらええんや。」
・・・そうだ、ゆっくり親子になっていけば良いんだ・・・その言葉を聞いたとき俺は泣いていた。




