79 転生者の視点
-side 狒狒丸 -
あればボーナスの日だった。ずっと我慢していた漫画の大人買いを久しぶりに行った俺は、重い荷物を両手に持ち家に意気揚々と帰っていた。(送ってもらおうかとも思ったが、家に帰って直ぐに読みたかったのだ。)
キキッと音が聞こえたと思うと後ろから跳ね飛ばされる。体に激痛が走った時、頭をよぎったのは「これってトラックにはねられたのか?」という疑問だった。
気がついたらプカプカと水らしきもの中に浮かんでいた。呼吸をしても水が入ってくるだけなのだが、全然苦しくない。ドクンドクンと心地良い音が聞こえ、全然お腹も空かない・・・此処はあの世か?全然頭が働かない・・・なんか眠い・・・
しばらくすると世界が狭くなってきた・・・なんか声も聞こえるし・・・もしかすると此処はお腹の中?転生か?本で読んだことはあったが本当に自分に起こるとは・・・何処で読んだんだ?・・頭に靄がかかっている・・・とりあえず寝よう・・・
訳が分からない内に産まれていた・・・産まれたとたんに頭の靄が晴れる。脳の神経が繋がっていく感じだ・・・やはり転生したらしい・・・泣かなかったら尻を叩かれた・・・泣いたら疲れた・・・周りの雰囲気が変だが、起きていることが出来ない・・・寝る・・・
目が全然見えないが、これはどうなっているんだ・・・親の顔が見たいと思っても、ぼやけていて目しか判らない・・・赤ちゃんは視力が悪いと聞いたことがあるが・・・どんな顔をしているんだろう・・・やっぱり寝よう・・・
なんか、日本語が聞こえたと思う・・・どうやら親父の独り言のようだ・・・もしかすると親父も転生者か?・・・寝てばっかりだが・・・眠い、寝る・・・
日本語に反応したのが判ったらしい、親父がドンドン日本語で話しかけてくる。どうやら転生者ではなく、異世界に召還されたらしい・・・奥さんが4人いるとはハーレム勇者か?・・・リア充め爆発しろ・・・と思いつつ・・・寝る。
なんか、不穏な空気が漂っている。日本語ではないので理解は出来ないが、親父とお袋がお客さんと話をしている・・・なんだそのリストバンドは・・・やめろ・・・リストバンドを右腕にはめられたら、急に眠気が襲ってくる・・・最後に聞こえたのは日本語・・・「3年後に会えるのを楽しみにしておるぞ。」




