64 特訓(88日目)3 王の理由
「それよりも、これには致命的な欠点が有るのではないのか?我が君は「若木」であると共に「わら人形」にもなる。央華からすると格好の的だろう。」
「その通りじゃ。「王」が死ぬと、東夷の龍脈は絶え地力も枯れ果て、人が住めぬ死の「国」になるじゃろうの。
じゃから、守りを鍛えに鍛えた訳じゃ。」
「2つばかり質問してええで~。」
「うむ。」
「一つ目は旦那はんの寿命。人間は何百年も生きられへん、死んだときにこの国はどうなるんや?二つ目は、他にもいろいろ人は居ったはずやのに、なぜ旦那はんでなかったらあかんかや。」
「ふむ。まず、一つ目じゃが、「イチロー個人」ではなく「イチローの一族」を王として東夷に縁づけたのじゃ。
このため、イチローが死んでもイチローの子孫が生きておる限り龍脈が絶えることはないのじゃ。
このことは、お主達を王妃に迎えた理由でもある。この状況では優秀な子供でなくては難しいからの。」
「最高の畑を用意した訳や~。」
「そう言わんでくれ。どうしても子供には母親の影響が大きいのじゃ。この状況で王位に目がくらみ殺し合いをされると致命的じゃからの。
力に支配されるのではなく力を支配するお主達のような人間に母親になって貰いたかったのじゃ。
さて、二つ目じゃが、一人を鍛えるだけで「一族全員」を鍛えるためには天涯孤独な「異世界人」でなくてはならなかったのじゃ。
この世界の人間では何百年か遡るだけで必ず血の繋がった人間がでてくる。この世界に血の繋がった人間が一人もおらんのはイチローだけじゃ。
これがイチローを「王」として選んだ理由じゃ。」
シルヴァが、わざわざイチローを王にした理由です。
次回はちょっと大人の会話




