46 特訓(7日目)2
午前中のインディアンマラソンの後は、村の手前で魔力創りである。
「珍しいな」
「なんじゃ、イチロー、いつもと変わっておらんと思うがの。」
「いや、いつもは午前中にインディアンマラソンと体力作りの後、村なんか見えないところで魔力創りだろ?その後、もう一回、インディアンマラソンで村まで着いて一泊じゃないか。
午前中で村の手前まで来るところが何か怖いんですけど・・・」
「鋭いの。もう一度、薬での魔力創りを試してみようと思っておるのじゃがな、少しキツい薬のため、倒れた後の運ぶ手間を省こうと思ってな。」
「アホか~。絶対イヤじゃ~。」
「また、このパターンかの。白銀、黒姫、」
「少し待ってもらいたい。」
「なんじゃ、白銀。」
「もう良いのではないのか。魔力を創るのも重要だと思うが、薬を試す必要はあるまい。」
「しかしの、」
「今まで以外の方法を試すというのならば別だが、効果が薄いと思われる方法で我が君を苦しめるのはいかがなものか。」
「しかしの、魔力が無ければ危険じゃというのはお主も承知しておろう。」
「ならば、別の方法をシルヴァ殿が見つけるまでは、命に代えても私がお守りいたす。これ以上、我が君を苦しめるのは許さぬ。」
「白銀・・・うぅ、本当に御前は・・・ありがとう。他の二人と比べると月とスッポン、」
「何を言っているのですが、私達も好きでやっているわけではございませんのよ。どうしても必要だから、」
「白銀の優しさと比べると月とスッポンどころか太陽とスッポンだ!いや、マジで白銀は太陽やで・・・えっ、太陽、ぐぅ、ぐげっ、身体が身体が・・・。」
「これは・・・魔力ですわ。」
「我が君、気をしっかり持て。へその辺りに意識を集中して、私の手からの魔力を感じるのだ。」
白銀がお腹に手を当てると、自分の中の違和感が白銀の手から感じる温もりと同調して落ち着くのが判る。
「そのまま、体の中をグルグル回る様にイメージするのだ。」
同調した熱いものが、白銀からの温いものに導かれて体の中を廻る。
「これは魔力ですわ。ふぅ、どうなることと思いましたが。」
「ほんま、でも良いところを白銀に取られてしもたな~。うちの方が旦那はんの事を考えてると思うんやけどな~。まぁ、次、頑張るか~。」
黙って成り行きを見ていたシルヴァが突然、笑い出したかと思うと、
「くっくくくっ、そうか、青竜が王じゃからの木行とは思っておったが、太陽か、太陽が必要じゃったのじゃの」
「どういうことですの。」
「くくっ、これは儂のミスなのじゃがの。
今は東夷であるが、元々イチローは青竜国の王な訳じゃ。青竜は五行でいうと「木」、このため魔力を創ることを発芽することになぞらえて訓練をした訳じゃ。
つまり、「薬」で「酸素」、「滝行」で「水」、「魔物の攻撃」で「熱(温度)」を与えたのじゃ。
これで創れなかったのでの、次は「火、土、金、水」のどれになぞらえようかと思っておったがの、太陽の光を忘れておった。
確かに我が王の魔力は、太陽の光を好む大木でなくてはの。」
・・・この後、体の中をグルグル回すだけで魔力を使い果たしてヘロヘロになりながら村に入ることになった。




