31 根回し
白銀と黒姫の手合わせ?から一週間後、夕食時にイチローはシルヴィアから深刻な顔で話しかけられた。
「お主、この国をどう思う?」
「えっ・・・いや、みんな親切にしてくれるし好きですよ?。でも、今更わざわざ、そんなことを」
「うむ、お主にこの国の王になってもらおうと思ってな。」
「はい?」
「シルヴィア!」
「すまぬの、ブルネット。思った以上にイモの普及が遅れての。民の不満が高まっておるのじゃ。」
「ですが、イチロー様でなくとも。」
「儂とブルネットは禁呪を使った身、王には成れん。紅音、白銀、黒姫は他国の中枢の関係者、王になると朱雀と白虎からどんな干渉があるか判らん。」
「東夷の中に候補者はいくらでも居るではないですか!」
「まともな者では、央華と戦になれば一族郎党皆殺しになる立場に成りたい者などおらんよ。今、王になりたいという者は、自分に良い条件で降伏しようとする性根が腐っておる者か、頭の悪すぎる者じゃ。
まともな者は皆、反対するじゃろう。」
「シルヴァ、それは俺が王に成っても一緒じゃないか?」
「それがの、異世界から来て窮地を救った勇者が王になるという話は昔から有っての、意外に反対は少なかったのじゃ。
それどころか、儂が皆に聞いて回ったのが噂で広まっての、イチローがこの窮地を何とかしてくれると、不満が少し静まっておるのじゃ」
「・・・いや、やはり俺は王の器ではないよ。怖いから遠慮しておく。」
「いや~、困ったのう。結構、民は期待しておるでな。イチローが断ったとなると暴動が起きて襲われるかもしれんのう。
儂らは、東夷の民に対して力を振るうわけにはいかぬからの~、もしかするとイチローに危害が及ぶかもしれんの~」
「をい。・・・なんか、確信犯じゃねーのか。」




