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芋畑から異世界に  作者: たんたんタヌキの
23/190

23 誕生日

白銀、黒姫が朱雀国に帰ってから、2日後の夕食時、ついにイチローがキレた。


「おい、いい加減にしろ!俺が、毎日毎日芋を食っている横で、美味そうにステーキを喰いやがって!」

「仕方が無かろう。お主がこの世界の物を食べると、元の世界に帰りにくくなるのじゃ。元の世界のイモを食べるしかなかろう。

 儂達とて、せっかく召還した貴重なイモをこんなことで消費したくないのじゃぞ。」


「でも、今までは皆が食べていたのもお粥とか黒パンとかだったじゃないか!

 最近、ブルネットには全然会えないし・・・シルヴァは美味そうな物を食いながらチクリチクリと嫌味を言うし!紅音も美味そうに食べるんじゃない!」

「あら、八つ当たりですの?。そんなことを言われましても美味しい物は美味しいですわ。」


「くそっ」


「ブルネットに会えんと言っておるが、ブルネットが政務以外は、寝る間も惜しんで何をしているか気づいておらんのか?」

「へっ?」

「ブルネットはお主のために送還の魔術を研究しておるのじゃぞ。

 もちろん、お主からすると自分ブルネットの不始末を償っているだけかもしれんが、

友人である儂からするとその返事は腹立たしいの。」

「・・・すまなかった。」


「まあ、良いではありまんか。もともとブルネット様のお願いでご主人様に合わせてお粥などにしていたのを、意地悪でステーキにしたのですから、お互い様ですわ。」

「意地悪やって?」


「意地悪では無いのじゃがな。」 

「・・・理由は。」


「ブルネットが心配なのでな・・・。あと、ブルネットが本調子でなければ東夷を維持するにも守るにも支障がでる。イモの普及も進んでおらん。

 そんなこともあってな・・・お主をこの世界に来ないかと誘った訳じゃ。」


「おい!」

「悪い話ではないと思うぞ。帰れるかどうか判らんままで一生イモを食い続けるか、美味い物を食い、恋愛もできる新しい世界に生きるか。

 お主にも良い話じゃし、東夷にも良い話じゃ。ブルネットも休むことが出来るし、儂も安心できる。損をする人間は一人もおらん。」


「帰れん俺が、大損やんけ!

 ・・・・・・なぁ、そんなに拙い状況なのか?」

「ご主人様!」


「俺はシルヴァを冷酷なヤツだとは思っていない。そのシルヴァがこう言うんだ、ブルネットに俺の送還の研究をさせるだけの余裕が東夷に無いということだろ。」

「・・・すまぬ。」


「・・・判った。そのステーキを取ってくれ、美味そうな匂いでガマンできん。」

「それでは、今日がこの世界でのご主人様の誕生日ですわね。」

「ふむ。それではブルネットも呼んできて、みんなで祝わんといかんの。」

これだけの間、芋だけで頑張っていたイチロー・・・

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