15 光と闇
チルドがカワードを連れて白虎に出発してから一週間が経った。
チルドが行っていたメイドの仕事はスカーレットが行っている。だいたい、午前中に仕事を終え、午後に訓練を行うのが日課になっている。
そして、イチローはスカーレットが中庭で行っている訓練を見学させてもらっているところである。
「なあ、どうして魔術を使うときに左手を握りつぶすんだ?」
「えっ、気づいていましたの?」
「まぁ、何回も見ていると自然に気になってな。」
「これは、私が天王ではなく竜王である理由でございますの。光を生み出すと、同程度の闇も生み出してしまいます。八部衆としては闇を使うわけにはいけないので、握りつぶして光だけにして魔術を使うことにしております。」
「えーと、別に闇を使ってもよいんじゃね?」
「はぁ、ご主人様、何を言い出すんですか?。闇を使うなんて・・・」
「いやいやいや、光が生み出されたら、光のないところが闇になるだろ?光が強くなれば強くなるほど闇は濃くなるし、闇が深くなれば深くなるほど光は輝きを増すんじゃないの?」
「!」
「さらに言うと、例えば、この棒のこっちの端が最も善なるものとして、こっちの端を最も悪なるものとするでしょ。棒を半分に斬って半分から悪の側を無くしちゃったら、斬られた端、ちょうど半分の部分が最も悪なるものになるんじゃないの?」
「!!私は光と闇を生み出すのにはほとんど魔力を使っておりませんでした・・・闇を握りつぶすのに魔力を使っていたのに・・・」
「まあ、別に結論を出す必要はないから、ちょっと考えてみたら?」




