104 意外な陳情2
二人が立ち去った後、シルヴァが口を開く
「済まなんだの。」
「どうしてあの二人に会うことになったの?」
「これは、儂のミスじゃ。ファングもメリーもそこそこの腕を持っておるのでな、快く受け入れてイチロー王に対する忠誠心を上げておき、また、イチロー王の懐の大きさを皆にアピールしておこうと思ったのじゃ。
まさか、あの様な話を持ち出すとは思わなんだ。事前に話をしている内容と違う話を持ち出しても断れるのは目に見えておるからのう。」
「ブルネットがいたら違ったのか?」
「儂のように理屈だけでなく、ブルネットは相手の感情も考えて読むからの・・・あの様な場合は断るか、相手を説得しておいてくれるはずじゃ。」
「家のこともそうだけど、不便を感じないように、問題が起きないように事前に手を打ってくれるブルネットって・・・足を向けて寝られないな。」
「一見目立たぬが、日常を平穏に廻す人物をキチンと評価するのも王の勤めじゃ。」
「分かった。帰ってきたらちゃんとお礼を言っておくよ。ところで、さっきの話はどうして断ったんだ?」
「お主がファングに説明した通りじゃ。あの様な干渉は遺恨を残すからの。今は東夷が優位に立っておるが、国力が逆転した場合には干渉の前例がつけ込む隙になるからの。」
「でも、人道的干渉とか批判だけとかだったら問題ないんじゃない?」
「それはお主の元の世界の話じゃ。此方ではそれだけでも十分に戦争の理由になるのでな。
戦争を覚悟しているのなら別じゃがの、国王の言葉はそれだけ重いのじゃ。
一役人が、一貴族が言ったことをあげつらって言いがかりを付けてくるような国はないがの、まあ、よっぽど酷い場合は国王にどうにかして貰いたいとお願いするときはあるが・・・国王及びそれの代理の場合はその発言が国の総意と捉えられるからの。
イチローには十分気を付けて貰いたい。」
「分かったよ。」
この世界には結構、喧嘩っ早い国があります。




