103 意外な陳情1
-side 東夷首都 -
「なあ、陳情がやたら増えてるんだけど・・・」
「今まではブルネットが見えないところで前裁きをしてくれていたからの。」
「家事もそうだけど・・・居なくなるとありがたさが分かるな。」
「いつもは空気や水のありがたさに気付かないのと同じじゃの。」
「さて、次の人を入れてくれ。」
・・・・・・・・
イチローの前には犬の獣人の男性と人間の女性が並んでいる。
「イチロー王、お会いしていただき本当に感謝しております。私はファング、連れはメリーと申します。」
「え~と、出身は央華と東夷の間にある国で・・・どちらの村でも獣人と人間の結婚を認めて貰えないので、東夷に来て結婚したいと(陳情しなくても別に問題なく出来ると思うけど・・・)
「王に会わせていただくためにそう述べましたが、本当は違うのです。実は私達の国の獣人の差別を無くして貰いたいのです。」
「はぁ?」
「(ちっ、ブルネットが居ないツケがこんな所に出てくるとはの)待つのじゃ、陳情の内容と異なることを申すというのは、無礼、」
「貴方に話しているのではございません。私はイチロー王にお願いしているのでございます。」
「え~と、陳情の内容は「東夷に私達の国の獣人への差別を無くして欲しい。」で良いのかな?」
「違います、獣人の人間への差別を無くして欲しいのです。」
「へっ?獣人への差別じゃなくて人間への差別なの?」
「そうなのです。実は私の村では差別が酷くて、人間が入ることすら許されていないのです。そのため、メリーの村でも皆が怒ってしまっていて・・・イチロー王にならこのような状態を正していただけるかと。」
「え~と・・・」
イチローがシルヴァを見ると、首を振っているのが見えた。
「・・・村の話だと村長に、国の話だと国王に陳情すべきだ。これを隣国に持っていくのは干渉する材料を与えるだけで、干渉が善意で行われたとしても遺恨を残す。
やはり、国内で解決すべき話だよ。」
「しかし、イチロー王!」
「私の裁決は以上だ。東夷に来るならば私の決断に従って貰う。どうしてもというならば、央華魔王国の魔王殿に書状を書くので魔王殿にお願いしてはどうでしょう?」
「・・・分かりました。そうします。」
「シルヴァ、魔王への書状の準備を。」
「了解じゃ。」




