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強襲2日前 夕方Ⅱ

□□□□


古びた階段を登り、三階の西校舎の一番奥に美術室はあった。

西洋の男らは平面とは思えないほど生き生きと静かな空間に存在していた、雛はカズマと室内に入っていく、球技大会の片付けなどで生徒や教師の姿はなく遠くから声が響いてくる程度だ。

カズマに手招きされ近くに置いてあった木製の椅子に座る、年代物なのかキシキシと悲鳴を上げる。


「で、何なの見せたい物って?」


窓側にある椅子に腰掛けたカズマに雛が声をかける、彼は少し迷ったように腕組みをする。


「実は、見せたい物なんてないんだ…君と2人きりになりたかった…それだけなんだ…」


「えっ!?それって…つまりどういうことなの?」


「…………………」


雛はカズマの言った言葉の意味が分からず困惑の表情を浮かべた。

しばらく室内は完全な静寂に包まれる。


「僕…雛さんのことが好きなんだ、ただそれが伝えたかった」


「えっ!?…」


カズマの突然の告白に正直どう対応していいか分からなかった。

これまで、男子と単体で会話する事がなかったからだ。

こういう時は、時間を下さい!とかすみません!とかもう好きな人がいるんで!などを言うのが普通かもしれないと思った。


「ごめんなさい!私…」


「やっぱりだ…もう好きなヤツがいるんでしょ?」


「な、なんでそうなるのよ?」


一瞬だが、ある男子の顔が浮かんだ。

しかし、カズマはその様子をみて「やっぱりね」とつぶやきため息をもらす。


「ごめん…本当にごめん!カズマくん…じゃあ、そろそろ戻ろう」


「待てよ!」


「痛っ…!!」


美術室を後にしようとする雛の腕を強引に引っ張りカズマが怒声を上げる。表情は怒りと憎悪に歪み、かつての彼の優しさの面影はない。


「カズマ……くん?」


「何で…僕のものにならない!クソが、クソが!素直にOKすりゃあいいんだよ、ふざけんなよ」


下を向きながらブツブツと何かを言っている。

雛は直感的に危険を感じた、目の前で起こっている異常な光景に動揺を隠せない。

雛はそっと体操服のポケットに手を伸ばし、防衛のために常備しているカッターナイフに手をかける。


「もう、いいや…はは」


「カズマくん落ち着いて、いつものカズマくんに戻って…あなたを傷つけたくはないわ」


彼女の言葉にカズマが狂った獣のような残酷な笑みを返す。


「傷つけたくない?…さんざん人を傷つけたくせによ、僕の心を踏みにじった…全てお前が悪いんだよ!!」


「それ以上近づかないで!!身の安全は保障できないわよ」


怒声と共に駆け寄ってこようとするカズマに対し、雛がカッターナイフを取り出し警告する。

彼はそれを見て、気味の悪い笑みを浮かべた。


「なんだ、君はドSなんだ…いいよ」


「ド、ドSじゃないわよ…でもMはイヤだけど…って!?何を」


何を思ったのかカズマが体操服を脱ぎ始めた…

もともと半袖の薄着だったのですぐに上半身が裸になった。

スポーツ万能でサッカー部に所属しているだけあって筋肉も中々だ…

カズマは慌てる雛を横目に見ながら次はズボンに手をかけ始めた。


「やめなさい!それ以上するなら力ずくで止めさせて、職員室に連れて行くわ」


「ちっ…何だよ連れないな…そっちが要求したくせに…」


「要求してないわ!変な女に見られるようなこと言わないでよ」


「じゃ~強制的に僕のものになってもらうよ…使いたくなかったけど、君が悪いんだ」


カズマはベルトからズボンのポケットに手を移し、銀色の指輪を取り出した。

宝石などは付いてなく、古代文字のようなものが刻まれている。

雛は魔術関連の道具であることに気付いたが、その時には遅かった…


魔術にかかったのだ…


直後、視界がぼやけ、意識が遠くなるのを感じる。

かすかに映る彼の顔には凶悪な笑みが見えた。


しかし、意識が離れていく、そして暗転した。


「もう僕のものだよ雛」


上半身裸になったカズマが眠るように倒れている雛に近づいていく…


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