魔術教会の使者
「じゃ~次…ここの問題の答えは…夜兎神」
私立戦皇高校ここは一般にそう呼ばれている。
学業を第一と考え日本の次世代のリーダーたちを育成する。
「どうした…夜兎神?」
今、俺の前では数学の授業が展開されている。
担当の谷橋が俺の表情をうかがっている。
「はい、6X-5です」
「流石だな…よく理解している。」
周りの生徒のほとんどが感心の声をあげる。
しかし、嬉しくはない俺は英雄のクローンだからできて当然そう少年は思っているからだ。
俺…夜兎神裕弥は歴史を作ってきた英雄の一人の遺伝子から作られた人形に過ぎない…
そんなことを考えながら裕弥は昨日の夜の出来事を思い出していた。
□□□□
「さぁ…どちらかを選べ」
裕弥が血を流しながらこっちを睨んでいる白衣の男を無関心に見下し言った
「魔術教会は魔法を独占しようとしている。私たち研究者の独自に開発した魔法までも…」
男は裕弥に撃たれた肩を押さえながら怒りの声をあげた。
「……」
魔術教会は魔術保護法の最高責任組織であり、法律に違反している魔術を回収している裕弥たちの上の集団を指す言葉だ。
裕弥は使者として魔術教会の保有する英雄たちの遺伝子から作られた天然の能力者だ…上が何を企んでいるのかは下の裕弥には興味がない…ただ依頼された事をこなすだけだ。
「私には世界の鉄鋼不足を解決する義務がある!
その為に…」
「もう…面倒だ…何もかも」
その刹那…裕弥は引きがねを引いた。
男は短い悲鳴を上げながら弾丸の通過した脳の前頭葉部分を押さえながら裕弥の前に転がった。
「選べないお前に生きる意味などない…」
自分の前で転がっていた男の体が動かなくなったそれを呆然と見つめながら裕弥は男が抱えている血まみれのバックの中から試験管を取り出した。
「選ぶことすらできない俺は…いったい何の意味があるのか…?」
自分に問いかけるようにしながら…回収した試験管を見つめた中には無色透明の液体に赤い石のようなものが入っているだけだった。
裕弥は試験管を服のポケットに急いで突っ込んだ。
何者かが研究所の施設に侵入してくる気配を感じたからだ…
「…………」
裕弥は目の前に横たわる男をもう一度見下ろしてから研究所の出口を探しに走り出した。
街の夜はさらに深まっていく…




