強襲作戦の2日前 昼
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裕弥と雪、それに雛は屋上で昼食を取っていた。
裕弥はいつも通りサンドイッチを口に運びながらスマホでニュースを見ていた。
《ホームレスだけではなく街近隣の住民たちも行方が分からないことが先ほど入ってきました》
どうやら大量の人間が誘拐されたようだ…
「赤城ってヤツの仕業かもしれねーな」
「私もそう思うよ!雛ちゃんは?」
雪が購買の唐揚げパンを食べている雛に問いかける…しかし、なぜか彼女の表情は苦しそうだ…
「何か…分からなくなってきてるの…あの人の事」
「……雛…ちゃん………?」
様子がおかしいことに気付いたのか雪が心配し始める
「どうしたんだよ……」
裕弥が事情を探ろうとする。
「昨日、あの人が言ってくれたの…お前は私の娘だって………こんな私でも娘だって…」
「…………………」
「……………………」
雛は涙を流しながら、そう話した…裕弥たちも言葉を失う。
自分たちは普通の人間ではない…クローンだ
勝手な感情を持つことすら禁じられた教会の人形兵器なのだ…
雛は自分の存在を認めてくれたと思ったのだろう
「でも、安心して…もう少し探りは入れてみるから」
「……頼んだぞ」
「うん……………」
そう言うと雛は涙を拭った…
真実は明らかにしなければならない…それが望まぬ事実だったとしても…
三人は空に浮かぶ飛行機雲を眺めた…
◆◆◆◆
同時刻…
《魔術教会・総本部》の中央の大きな部屋
「No.1…私、No.3は3日後に国立生物研究所に突入、違法研究者どもの武力による制圧ならびに排除を許可願たい…」
ハスキーな男の声が広く、聖堂のように豪華な室内に響く。
「……まあ、許可しましょう」
部屋の中央の椅に座っている男が退屈そうに声をだす…冷酷で威圧のこもった声だ。
彼を中心として大小の様々な魔法陣が渦巻いている。
「感謝いたします…」
No.3が笑みを浮かべる
その直後、部屋の大扉が開き数十人の鎧を身にまとった兵士たちが中に入ってくる。
中央の男が無表情に見つめる。
「No.3…それでは戦力不足ではないか?」
「非力な研究者ども相手なら強襲部隊で十分だと思いますが…使者も加わりますし」
ハスキーな声の男は後ろの鎧軍団を一瞥し、椅の男に視線を向ける。
「いや、念の為に暗殺部隊を連れていけ…」
「いえ…しかし」
「いいな!」
「くっ……!?了解…」
男の放った魔力を帯びた波動にNo.3が圧される。
「では、任せたぞ」
No.1と呼ばれる男は地にはう害虫を見るような冷酷な瞳でNo.3を見下ろした。
「はい、教会No.3…柳瀬万雷にお任せください」
No.3はそう言い残し、鎧軍団と共に部屋を後にする。
残されたNo.1は椅子にひじをついて息を吐く
彼の周りを回っていた魔法陣が禍々しい黒色に変化し、部屋は奇妙なエネルギーに包まれた…




