研究所の地下
◆◆◆◆
《国立生物研究所》地下二階
赤毛の白衣を着た千春はあたりを警戒しながら暗い廊下を進んでいた
「あら……お疲れさん」
千春は若い研究スタッフに声をかける
その背後には水色のパーカーに銃を構えた女性が気配を殺して尾行していた
「一体どうなってるの…?」
研究スタッフたちの様子に女性は口をおおう
研究スタッフが生きた人間を引きずって奥の部屋に消えていくからだ
その異様な光景を日常のように彼らはこなしている
廊下から全員が部屋に入ったのを確認し、女性は安堵の息を吐いた
「動かないで!手を上げて」
「なっ!!」
いきなり背後から小さな声が飛んできた
後頭部に銃を突き付けられているのを感じる…女性は油断した自分を責める
そして後ろの何者かが口を開いた
□□□□
《戦皇学校・学生寮》
時間が時間なだけに外は黒に覆われている
そんな中、学校に隣接している学生寮の7階に3人の生徒が夕食を取っている
エプソン姿の大人びた黒髪の少女に幼い顔立ちをした少女、それに整った顔立ちの少年だ
「雛ちゃん、私のエプソンちっちゃくなかった?」
「確かに胸はきゅうくつだったわね」
「止めんかい!」
真顔でやり取りする少女たちに少年が恥ずかしそうな表情になる
そう、この部屋は夜兎神裕弥の寮部屋だ
少女たちは同学年の島原雪と赤城雛だ
「雛って料理できんだな…ウマい」
「何か上からって感じでムカつくわ」
「あっ…すんません」
目の前に並んだ料理を食べながら少年が謝る
料理は酢豚やカツオの叩き、ポテトサラダ、厚切りステーキなどが置かれている…
どれもハイクォリティー過ぎる
「わ、私も手伝ったんだから」
「はいはい………」
隣では、なぜか雪が熱くなっていた
「裕弥ってば信じてない」
「……………」
雪の料理スキルは裕弥が身を持って体験済みだ
しかし、雛が哀れんだのか口を開く
「事実よ……そこに多少の弊害があっても…」
「ほら~えっへん」
雛のフォローに気をよくしたのか雪が胸を張る
「で…何を手伝ったんだ?」
予想は付くが聞いてみることにする
「えっと…カツオの叩きと酢豚の……」
「雪…………?」
何か言いにくそうだ
「……盛り付け…」
「盛ってばっかだな!おぃ!」
「でも、それも事実だわ」
予想通りの解答だった
雪の料理は「盛り」の域から出たことはない
その後も卓上は笑いに包まれた




