プロローグ
世界は魔法の存在を公表した。魔法はありとあらゆる分野に利用、応用され新しい技術として認められた。
しかし、魔法の威力の強さのため国と魔術教会が協定を結び「魔術保護法」が定められ魔法の利用範囲を規制した。
これに魔術研究機関共同体(通称:ブレイン-O)を始めとする研究組織が反発し第一次魔法戦線が勃発した。
これにより魔術教会は魔導書や魔道具を始めとする魔術を回収し術者を処分するため英雄たち(英雄は道具を必要としない天然の能力者)のクローンからなる使者を設立し戦線に終止符をうとうとしていた。
完全に夜の闇に覆われた街の中にある研究所の一室に電気が灯っている。
白衣に身を包んだ若い男が険しい表情で試験管を睨んでいた。
「まだ…足りん、媒体とのバランスが不均一だ」
その刹那ー ー ー
部屋の外から銃声がなり響く、男はさらに顔を歪めて試験管ごと黒いバックに乱暴に詰め込む…
IDカードを扉にかざし扉が完全に開ききる前に飛び出す。
そのまま屋上のヘリポートに急ぐ。
男の表情には焦りと恐怖が浮かんでいた…彼の周りに血まみれの警備員が横たわっていたからだ。
「くそ…ここも見つかったか…」
男は横たわる警備員から銃を取り出し利き手に持ち帰る。
直後、近づいてくる音に気づいて男の体がピクリと動いた。
銃を足音のする曲がり角に照準を合わせる。
「逃げれるつもりか…」
「「な、に!!」」
背後でいきなり声がした男もとっさに銃を声の方向に合わせる…
しかし、相手の銃口の方が早く、男の額を捕らえた。
「残念…俺の方の勝ちだ」
「き、貴様は…いったい?」
男が見たのは高校生くらいの少年だった…小柄で細身の…
しかし、少年の手には銃が握られている。
「…パシり…かな、ただの」
少年は怠そうに、それだけ答えた。
「ここは、研究所だぞ…コンビニにならッ…」
「焼きそばパンが売ってる…だろ?でも、俺の欲しいのは、あんたのバックに入ってるもんだけだ」
そう言って銃を握る手に力を入れる。男はバックを強く抱きかかえて少年を睨んだ。
「そうか!貴様は教会どもの使者か!」
少年は少し驚いたようだったが、すぐに冷静さを取り戻した。
「ああ、ここで死ぬか…それとも牢獄に入るか…好きな方を選べ」
男は少年の話を聞きながらバレないように持っているバックに手を入れようと…
「あぁぁぁーーー」
突然、肩に激痛を感じて男は言葉にならない悲鳴をあげた…白衣の右側が赤く染まっていることに気づき男は少年に撃たれたことを知った。
「さぁ…どちらかを選べ」
少年は痛みに耐える男を無関心に見下ろす…




