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第2話 顔
奇襲は相手に読まれていた。
結果、囲まれたのだが、またハンナに助けられた。
囲んでいた敵兵の中に、敵兵を切り崩す者が居た。あれはただの同士討ちじゃない。一瞬だけハンナの顔になった。
敵は意表を突かれ、その隙に俺たちは難を逃れた。
その日俺が兵舎に戻ったのは、朝日が昇る前だった。
「早かったのね」
ハンナは笑顔だ。
・・・・・・怪しい。
「俺の目、最近おかしいのかね」
いつもならミレーのうちから帰った後は、妙にとげとげしいんだが・・・
「今日ミレーの顔がおまえの顔に見えたんだよ」
聞こえないふりか?
「おまえ、どう思う?」
「気のせい」
居直る気か?
「気のせいだって!!」
けっこう必死だ。