第95話:現実という名のテーマパーク
「……みんな、帰ってこなくなりました。」
娯楽品の開発が進みすぎた。
幻術VR、魔導ゲーム、五感接続小説…… あまりに快適な空想世界に、 人々が“現実離れ”を起こし始めたのだ。
「じゃあ現実の方が、もっと楽しくなればいいんじゃないですか。」
【魔界多目的娯楽施設開発計画:通称“現実ランド”】
・地域復興予算を利用した地方活性アミューズメントゾーン整備
・現実型迷宮アスレチック、魔導水流ジェット滑走施設
・地元素材の屋台街と“伝統芸能エリア”
・魔法動力式観覧塔と空中散策路
・定期的な“市民芸術展示”と市民による運営参加制度
「ちゃんと汗かいて、ちゃんと声出して、 ちゃんとお金使って、ちゃんと現実を楽しめばいい。」
現実ランドは、開園初日から満員御礼。
チケットの魔導流通システムも初めて“待機列魔法”に突破される事態に。
「これはこれで……嬉しい悲鳴ってやつですね。」
バレルは、くたびれたスタッフTシャツ姿で、 市民と一緒にソフトクリームを食べていた。 銃尾には、チョコディップがこびりついていた。




