第93話:夢に触れた罪と罰
「夢の中で、許されると思ったんでしょうね。」
魔導科学の進歩により、 “夢界通信”という技術が一部で実用化された。
それは、他者の夢に干渉し、共有し、時に操る技術。
だがそれは、新たな問題も生んだ。
「夢の中なら、何をしてもいい……なんてことは、ありません。」
【夢界接触行為に関する倫理規定および刑事罰整備案】
・夢界侵入は“事前同意”を原則とする(同意魔導署名)
・夢中での精神的・肉体的被害は“現実の影響”として審議対象
・夢ハラスメント、夢内監禁、夢中ストーキング等の定義と処罰
・被害者の夢記録保護と治療支援魔法の提供
・加害者は“現実での倫理講習”と“夢界使用停止処分”
「現実を守るために、夢の境界線も引かなくてはなりません。」
裁判では、被害者の夢の再現映像が証拠として採用され、 判決とともに、夢界規律委員会の設立が決定された。
バレルは、夢中では相変わらず紅茶をこぼしていたらしい。
銃尾の幻影が、枕元でティーカップを押さえていた。
「次は、もっと地に足のついた話を……そうですね、労働災害対策の夢とか……。」
銃尾は、夢の中でもいい音を鳴らしていた。




