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第92話:永遠の約束、種を越えて
「……“死別まで”って、寿命が千年あると、話が変わりますよね。」
ある日、婚姻届に添えられた相談書。
それは百年単位の寿命を持つ種族と、数十年しか生きない種族の結婚についてだった。
【異種婚姻権利保護整備案】
・婚姻届に“寿命差条項”の記載欄設置(財産・遺族保障の明示)
・短命種族の子どもに対する遺族年金・教育補助制度
・長命側配偶者の“婚後独居支援”と再婚自由保証
・異文化・宗教・生活様式の差異調整を行う専門仲裁機関の設立
・婚姻講習会(種族交流支援)での参加奨励と魔導割引
「愛があれば、ですけど。 でも、現実のすり合わせも必要なんです。」
提出された異種婚姻の書類には、 それぞれの種族語と翻訳魔法の注釈が丁寧に記され、 “私たちは約束を信じています”と締めくくられていた。
バレルは書類に静かにサインを入れ、 受付のカウンターに飾られた二体の小さな人形に目をやった。
「……幸せになるって、大変ですね。」
銃尾は、いつもより優しい音を響かせていた。




