第91話:広場の主張、路上の調律
「広場の真ん中で、火の輪をくぐるショー……ですか?」
バレルは眉をひそめた。
その申請書には“炎術師による無許可パフォーマンス”が記録されていた。
ついでに、観客のひとりのスカートも燃えていた。
「公共の場って、自由であると同時に……共同の場ですから。」
【公共空間利用ガイドライン改定】
・広場、路地、公園での魔法・演奏・販売行為は“登録制”へ
・一定規模以上のパフォーマンスは“許可制+保険義務”
・無許可での魔導実演に対し、懲罰的ペナルティ(演出税)
・公共空間での“私物化”行為への通報制度
・使用後の清掃義務化と“ゴミ術師制度”の創設
「つまり、誰もが快適に使えるための“ちょっとの手間”です。」
魔法楽団はステージ登録し、 路上絵師たちは“パフォーマンス証”を掲げ、 屋台店主は“衛生符”を貼り…… 魔界の公共空間は、次第に彩り豊かに、しかし整然としてきた。
「広場が安全になると、子どもたちも戻ってくるんですよね。」
バレルは紅茶片手に、魔法ショーを眺めた。
スカートは燃えなかった。
銃尾は、その光景を“やれやれ”といった風に見つめていた。




