第88話:耕すべきは、土と未来
「うっかりしてましたけど……農業、まだ“手作業”なんですよね。」
政庁の食糧部門からの一枚の報告書。
そこには、開墾された農地で汗を流す人々の姿と、 それに比例して上がらない生産性のグラフがあった。
「よくやってくれてました。でも、そろそろ“次”へ進みましょう。」
【農業近代化計画:アグリ・マギカ・イニシアチブ】
・農業用魔導機器の自動化導入(播種・収穫・気象制御)
・ドローン型監視機での作物管理・病害予防
・魔導土壌センサーによる肥料効率最適化
・農作業の工程ごとにAI魔導式の進捗管理を採用
・若者向け農業研修と転職支援制度の整備
「“食”って、命です。 だからこそ、最新の技術で守るんです。」
畑には、かつての手作業の名残も残しつつ、 宙を舞うドローンと土中を探る魔導棒が舞い始めた。
「地味だけど、誇らしいんです。こういうの。」
それは、見た目派手な魔法や銃尾よりも、 日々の安定を生み出す“継続の魔法”だった。
銃尾は今日は背中で眠っていた。 代わりに、魔導付きの作業帽がバレルの額にあった。




